『FRANK −フランク−』(監督/レニー・アブラハムソン、出演/マイケル・ファスベンダー/ドーナル・グリーソン/マギー・ギレンホール)。 この映画を見て、一晩経ってからフランク・サイドボトムという人がいた事を知った。知らずに見た事がいいのか悪いのかはわからないけど、とりあえず本作はよい作品だった。音楽映画は数あれど、ここまで観客(他者)が不在の音楽映画は珍しいのではないか。この映画では音楽は他者と繋がったり、己の承認欲求のための道具なのではなく、世界と渡り歩くための武器であり、手段であった。 数字で図られるモンキービジネスの音楽業界をYoutubeの再生回数で示し、Twitterでかろうじての外部との繋がりを見せる。だが、それらには意味がない。2万回再生しようが、50万回再生しようが、結局は鳴らしたい音を鳴らさないのならば、その音楽を俺たちがやる意味はない――という青臭いほどの考えをあっ