新字の「穣」は人名用漢字なので、子供の名づけに使うことができます。旧字の「穰」も人名用漢字なので、やはり子供の名づけに使うことができます。つまり、「穣」も「穰」も出生届に書いてOK。でも、「穣」と「穰」の両方が子供の名づけに使えるようになったのには、微妙な歴史が背景にあるのです。 当用漢字表だけでは子供の名づけに足りない、という国民の声を受けて、昭和26年5月14日、国語審議会は人名漢字に関する建議を発表しました。この建議は、子供の名づけに使える漢字として新たに92字を追加すべきだ、というもので、この92字の中に新字の「穣」も含まれていました。翌週25日、この92字は人名用漢字別表として内閣告示され、新字の「穣」が子供の名づけに使えるようになりました。 しかし、人名用漢字別表の効力は、沖縄には及んでいませんでした。当時、沖縄はアメリカ軍の軍政下にあり、戸籍制度そのものが崩壊してしまっていた