米国の1月の出版統計で、E-Bookが初めて新刊ハードカバーを上回り、一気に一般書籍販売額の23.5%を占めたというニュースは、かなりショッキングなものだが、この2年間のトレンドの延長として理解するほかはない。このことの意味することは大きい。つまり、米国ではすでに(日本では数年以内に)デジタルを主とし、印刷を従として商品を計画すべき時代となったということである(電主印従)。印刷版をつくった後で、電子版を制作しようとする従来の方法では、コスト的にもマーケティング的にもまったく対応できない。 印刷本と電子本は方向性が違う 「印主電従」の何が問題だったかを考えてみよう。印刷物とデジタルファイルは、まったく違った性質を持つ。 印刷本の場合は出版社がすべてのコストを負担し、印刷工程以降のコストは可変コストであるのに対して、デジタルではコンテンツ制作以降のコストは固定である。 印刷本では、仕様(用紙・
ATIA2011レポート:アメリカの支援技術と数式のサポート ATDO 濱田麻邑 2011年1月27日から29日米国フロリダ州オーランドでATIA (Assistive Technology Industry Association/全米支援技術産業協会)2011が開催された。約270のセッションがおこなわれ、約130の展示があり、アメリカだけでなくイギリス、ベルギー、韓国など海外企業の展示もあった。参加者は、障害のある当事者や学校の支援技術担当者、支援技術関係の企業、また研究者や支援者が多くみられた。 電子書籍リーダー、スマートフォン、iPad等のポータブルデバイスの流行により、それらの活用に関するセッションが多かった。また、数式を扱えるソフトが増えていたことと、PDFやフラッシュ等アクセスが難しいとされていたものをOCRを活用して読めるように工夫されたソフトが目をひいた。 もとの紙に印
先日のエントリでEPUB3とDAISY4との関係について少し触れましたが、もう少し詳しく整理してみたいと思います。 ここで私がまとめるEPUB3とDAISY4の関係については、現在、策定中の話であり、現時点での話になります。今後、変更される可能性は充分あることはご承知ください。また、あくまで私の理解であり、私の理解が根本的に間違っている可能性もございます。その点もご注意ください。 ■DAISY(Digital Accessible Information SYstem)について DAISY(Digital Accessible Information SYstem)はデジタル録音図書の国際標準規格です。このフォーマットがどういうものかについて一からは説明いたしませんが、エンジョイ・ディジーに掲載されている以下のパンフレットがわかりやすいと思います。 ・DAISYパンフレット-エンジョ
ついに EPUB3 パブリックワーキングドラフトが公開されました!! EPUB 3 | International Digital Publishing Forum http://idpf.org/epub/30 ・EPUB 3 Specification Public Draft Released | International Digital Publishing Forum (プレスリリース) このURLに移転後初のエントリですので、いつもよりテンション高めに書いてみます。 EPUB3のドラフトは内部ドラフト時代から少しずつ読んでみたりしていました。そのまとめがてら、私の理解できる範囲(のその周辺)をまとめてみました。 とはいえ、内部ドラフトやパブリックワーキングドラフトを端から端まで読んだわけではなく、読んだとしても理解したとはとても言える自信がありません。あくまで私の理解であり
アップルの「iPad」やアマゾンの「Kindle」などの黒船の登場で、いよいよ本当に「元年」を迎えたことになりそうな電子書籍市場。前々回は端末、前回は電子書籍規格についてみてきた。また、本稿を公開直前の2月15日には「ePUB 3.0」のパブリック・ドラフトが公開され、いよいよ仕様策定の最終段階に入った。最終回となる今回はコンテンツ流通プラットフォームについてみていくとともに、今後の電子書籍の動向をさぐっていく。 AeroVision 富士総合研究所(現みずほ情報総研)のSEを経て、出版業界に転身。1993年からフリーランスライターとして独立しAeroVisionを設立。以来、IT系雑誌、単行本、Web系ニュースサイトの取材・執筆やテクニカル記事、IT技術解説記事の執筆、および、情報提供などを業務とする。主な著書に『これならできるVPNの本』(技術評論社、2007年7月)、『新米&シロウト
AeroVision 富士総合研究所(現みずほ情報総研)のSEを経て、出版業界に転身。1993年からフリーランスライターとして独立しAeroVisionを設立。以来、IT系雑誌、単行本、Web系ニュースサイトの取材・執筆やテクニカル記事、IT技術解説記事の執筆、および、情報提供などを業務とする。主な著書に『これならできるVPNの本』(技術評論社、2007年7月)、『新米&シロウト管理者のためのネットワークQ&A』(ラトルズ、2006年5月)など多数。 前編で触れたように、2010年はアップルの「iPad」や、NTTドコモの「GALAXY Tab」、アマゾンの「Kindle」、ソニーの「Reader」、シャープの「GALAPAGOS」など、さまざまなタブレットコンピュータや電子書籍リーダー端末が続々と発売され、日本でもようやく電子書籍時代が花開こうとしている。 しかし、端末だけが発売されても
IDPFは2月15日、ePUB 3の公開ドラフトをリリースした。JEPAの村田真氏を含むEpub Working Groupの7ヵ月にわたる作業の成果で、5月の正式版に向けての課題をほぼクリアしたことになる。IDPFではパブリックコメントを募集するが、これを元にePUB 3対応ブラウザの開発が可能であり、春を前に試行版が続々登場するものと期待されている。すでにデフォルトの標準となり、「中間フォーマット」としても使われているePUBだが、この第3世代が日本での本格デビューとなるだろう。影響は計り知れない。 ePUBは、HTML5、CSS、SVG、画像その他のリソースで構成されるWebコンテンツを構造的、意味的に拡張したデジタル出版物ないしドキュメントを表現、パッケージ化し、コード化するための方法を定義したもので、第3世代となるePUB 3は、ePUB出版物の主要部品を定義する4つの仕様から構
電子出版業界の国際的組織であるIDPF(International Digital Publishing Forum)が、2011年2月15日に、電子書籍の規格EPUBの新バージョンとなる“EPUB 3”の仕様のパブリックドラフトを公開しています。このドラフトに対し開発メンバーや一般からのコメントを募集し、2011年の中ごろに最終仕様が公開される予定とのことです。 EPUB 3 Specification Public Draft Released(2011/2/15付けIDPFのプレスリリース) http://idpf.org/news/epub-3-specification-public-draft-released EPUB 3(IDPFのサイトの情報) http://idpf.org/epub/30 epub-revision(ワーキンググループのプロジェクトページ) http:
国際大学フェロー 村田真氏。2010年よりIDPF/EPUBワークグループでコーディネーターを務める 都内にて開催された「Adobe Digital Publishing フォーラム 2011」にて、国際大学フェロー 村田真氏によるセミナー「電子書籍の新フォーマット、日本語対応EPUB3.0の詳細解説」が行われた。 電子書籍フォーマット「EPUB」とは、国際電子出版フォーラム(IDPF:International Digital Publishing Forum)が策定している国際的なフォーマットである。村田氏はセミナーで、EPUBの歴史や仕組み、5月に完成すると言われている最新バージョン「EPUB 3.0」の内容を解説した。 既存の技術を組み合わせて作った「EPUB」フォーマット まず村田氏は、「EPUBとは何か?」を解説した。EPUBは電子書籍のフォーマットであるが、その中で使われてい
この連載でもたびたび言及しているIDPFのLiza Daly氏が、自身のブログで「Appleによる独自のEPUB拡張」を報告しています。今回もAdobe Digital Publishing Suiteについて取り上げるつもりでしたが、急きょ予定を変更し、このEPUBの独自拡張について解説してみます。 レイアウト固定でリフローできないEPUB 前提条件として、EPUBというフォーマットは「リフロー」が原則です。CSSのpage-break-after/beforeを使うなどしてページ区切りを設けることは可能ですが、基本的にページの概念はなく、制作側がレイアウトを厳密にコントロールすることはできません。これを許せば、文字サイズの調整や画面の回転といったEPUBの長所が損なわれてしまいます。 しかし最新版のiBooksには、EPUBを固定レイアウトで表示するための拡張が施されているようです。残
2011年、電子2年(あるいは何度目の元年なのか)などと言われている昨今、電子出版への取り組みを始められた出版関係の方も多いと思います。電子出版とひとくちに言っても、アプリ形式のものからPDF、EPUB、専用フォーマットに至るまでさまざまな種類があります。なかでも、自社のコンテンツを構造化されたXMLやDB、または管理されたCMSに取り込む必要性を感じていらっしゃる方も多いかもしれません。 構造化されたコンテンツを取り出すために、組版ソフトのInDesignからのEPUB(XHTML)書出しに期待している方も多いでしょう。実際にそうしたワークフローを推奨する書籍やネット上の記事も散見されます。しかしながら、InDesignからのEPUB(XHTML)書出しは(現状では)まったく使い物になりません。ここで3つだけ理由を述べます。 まず、ひとつめにInDesignから書き出されたEPUB(XH
台湾の工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute)が、2012年に公共図書館の所蔵資料11,000冊を電子書籍端末向けに貸出できるようにする計画を立てているようです。この計画には、台湾の公共図書館500館が協力するとのことです。コンテンツはEPUBフォーマットで、デジタル著作権管理(DRM)技術を利用して提供され、貸出期間は14日間に設定されるとのことです。また、利用登録をすれば、台湾以外の国の人も利用可能にする考えのようです。 Taiwan libraries to offer 11,000 titles for e-readers(Network World 2011/1/5付けの記事) http://www.networkworld.com/news/2011/010511-taiwan-libraries-to-offer-11
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