周囲は当初、被告の嘘に完全にだまされていた。犯行の発覚は偶然だった。 アルコールを注入したことによって被害者の腸に不自然な穴が開いた。 ここから犯罪死の可能性が浮上した。もう一つの偶然も重なる。 弟を名乗っていた南波被告が病院を一時的に離れた際に、病院関係者が自宅へ電話すると、実の弟が出たのだ。 このことで、被告の弟と母親が病院を訪れ、母親が南波大祐とは別人だと断言。 捜査の結果、搬送された人物が男子大学生と判明したのだった。 検察は南波被告が保険金を目当てに殺人の計画を立てていた証拠として、1万以上に及ぶ膨大なインターネットの検索履歴から、殺人や保険金などに関するものを抽出した。 「なりすまし保険金殺人」「スズメバチ死亡確率」「ムカデ毒死ぬ」「生命保険入ってすぐ死亡」ー。事件に関するワードは500回以上検索されていた。 事件直前になると、「生命保険請求タイミング」「直腸アルコール」「アル