本年(平成25年)7月4日、神戸地方裁判所において、Yの小学生5年生の息子Zの運転する自転車が歩行中のX1と正面衝突しX1が植物状態なるという重い障害を負った事故に関し、Zの唯一の親権者である母親Yに,X1に対し約3,500万円の、X1との保険契約(人身傷害補償保険)に基づきX1に対して保険金を支払って損害賠償請求権を代位取得した保険会社X2に対し約6,000万円の支払義務を認める判決がなされました。 本件は、当時小学5年生の子どもが運転する自転車の交通事故であること、にもかかわらずその母親に高額の損害賠償金が認められたことで、新聞紙上等で報道され、世間の注目を受けました。そこで、本コラムでは、判決を概観し、裁判所の判断を見たいと思います。 まず、未成年者の行為に対する両親の責任について、民法第712条は、責任能力のない未成年者が他人に侵害を加えた場合にはその未成年者は損害賠償責任を負わな