安倍晋三元首相の功績については世界各国で称賛されているが、国内の左派やリベラル勢を中心に「アベ政治を許さない」などと露骨に嫌う人も目立った。安倍氏に反発するメディアも少なくなかったが、安倍氏はそうした人たちのどこを刺激したのか。 これまで何度も指摘しているが、安倍氏は、経済政策では雇用確保の実績はピカイチだった。安全保障では、西側政治家の中で誰よりも早く専制国家中国の脅威に気づいて日米豪印の戦略的枠組み「クアッド」に動き、同盟(集団的自衛権)の重要性から安保法制を作った。 重要なのは、これらの経済政策や外交・安全保障は世界標準なので、世界からの評価を得やすかったということだ。経済政策は、複数のノーベル賞受賞者や世界的に著名な経済学者から、外交・安全保障も各国首脳から評価されている。 それらの実績は左派を震撼(しんかん)させた。雇用の確保は左派の根幹思想であるが、保守の安倍氏はそのお株を奪っ