結婚した夫婦の姓をどちらかに合わせる「夫婦同姓」を定めた民法の規定は憲法違反だとして、東京都内の事実婚の夫婦ら5人が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、この規定は「憲法に違反しない」と判断し、請求を退けた。裁判官15人中10人の多数意見。 判決は、「結婚の際に氏の変更を強制されない自由」は憲法で保障された人格権にあたるとは言えないと指摘。夫婦が同じ名字を名乗ることは社会に定着しており、「家族の呼称を一つに定めることは合理性が認められる」と判断した。 さらに、改姓した側が「アイデンティティーの喪失感を受ける場合が多い」としつつも、旧姓の通称使用が広まることにより一定程度緩和される、と指摘。夫婦同姓が憲法の定める「個人の尊厳」や「男女平等」に照らし、合理性を欠くとは認められないと結論づけた。 この訴訟では、明治時代に始まり、「家」制度を廃止した