ブックマーク / www.axis-cafe.net (16)

  • 大学の人事とスケジュール(2.5) - おおやにき

    テレビを見ていたら岡田克也・副総理が「なぜ認可前に校舎の整備が始まっているのか」という趣旨の発言をしており、また田中真紀子・文科相は今日の記者会見で「(認可が決まった段階で)既に建物が出来ているのはおかしい。誰かが事前に情報を流しているのでしょう」と発言したとのこと(「肝心なこと言い忘れた...田中文科相、唐突な発表」Yomiuri Online)。わあすげえ、こいつら物の馬鹿だ。 あまりのことなので、これまでの話への補足を書く前に事実だけ確認しておくと、まず大学新設等の手続きについては「大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則」(平成18年文部科学省令12号)というもので規定されているところ、認可申請書に添付すべきものとされている書類(第2条1項)には「校地校舎等の図面」が含まれている。文部科学省の方で「大学の設置等に係る提出書類の作成の手引き」というものも公表されてい

  • 研究職をめぐる問題 - おおやにき

    山中教授のノーベル賞受賞が祝われた直後にiPS細胞の臨床応用を初めて実現したというニュースが報道されたところ、どんどん話が怪しくなっている件について(なお参考、「森口氏、iPS研究の詳細説明あいまい 朝日新聞も取材」asahi.com)。まあこの件の真相については追々究明されるのだろうけれども、正直言っておかしくなっちゃう研究者というのは一定の割合で出てくるのであって(自覚的に捏造するのであれ自分自身ではそれを真実だと信じる方向に行ってしまうのであれね)、その真偽を見抜く報道側の問題だよなとは思うところである。 ところでまあ一般論として言えば一部の研究者がおかしくなっちゃう背景にあるのは業績を出さねばならぬという強迫観念であり、さらに背景にある雇用の不安定さである。森口氏についてもこれまでの経歴に非常に激しい変遷があることが指摘されているが(たとえば参考、「「iPS臨床」の森口氏、資格は看

  • 著作権法改正について - おおやにき

    ようやく改正法の条文が衆議院のサイトで見られるようになったのでひと通り見てみた。国立国会図書館と国立公文書館に関する部分はほとんど議論もなかろうと思うので、それ以外の内容について多少。 (1) 第一はいわゆるフェアユース規定であるが、これがごく限定した特定の場合にのみ適用されるような「がっかり」フェアユースであるというのはまったくその通り。具体的に言うと被写体の背景に映り込んでしまった場合とか、利用に関する検討過程・技術開発・実用化試験の場合に限定されたもので、つまりあくまで利用方法の列挙にとどまっており「公正」のような利用形態・目的を規定に盛り込もうというものではない。 他方、そもそも私はフェアユースの考え方自体をあまり高く評価していないので(「透明化と事前統制/事後評価」『ジュリスト』1394号)、あまり「がっかり」でもない。つまり日でもアメリカでもまず著作権を前提として許諾を得ない

  • 給与水準 - おおやにき

    ハローワークの利用者には凶暴性があるから特別手当が出るそうなので我々大学教員についても検討してはどうかと思いました(挨拶)。いやあの学生のメンタルヘルスも昨今問題なのですが無実を訴える一面識もない人からやパンフレットが届いたり集団ストーカーの被害にあっていると主張する人が相談相手を求めて研究棟の廊下をうろついたり。一応高いとか設備とか人間とかが集まっている場所なのでもう少しセキュリティとかを考えてもらえないかと思うところはあるのです。まあ強化したらまっさきに破るのはきっと教員だが。ええと、「ハロワ職員 「失業者は凶暴性を有する者もあり」と特別手当」(NEWSポストセブン)の話。 人事院が公表している国家公務員(行政職)の今年度の平均年収は637万円。それに対して国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、民間サラリーマンの平均給与は平均412万円だ。 調査方法をきちんと見ればわかるんだけ

  • 寄付講座(1) - おおやにき

    あのねえ、大学がカネもらったら教員がそこに不利なこと言わなくなるんだったら私が朝日新聞の悪口書いて無事でいられるわけないじゃん。名古屋大学は朝日新聞名古屋支社からご支援いただいて「現代環境学/ジャーナリズムから学ぶ」という講義を設置してるんですよ? なにかというと純丘曜彰という人が「東電のカネに汚染した東大に騙されるな!」(INSIGHT NOW!)とか書いている件についてですが。 純丘氏の主張の中心は、(1) 寄付講座だけで、東京電力から東京大学の大学院工学研究科に5億円が流れ込んでいる。(2) これは東大に設置された全86寄付講座でも突出した金額である。(3) ゆえに「東電のカネに汚染した東大に騙されるな!」ということになる。(3)は来「カネに汚染された」になるべきではないかと思われるが、何らかの文飾なのか澄丘氏の能力的問題なのかは詳らかにしない。 念のために言うと、(3)の結論の部

  • 続々・更新 2011年3月20日 - おおやにき

    なんかまったくインターネット接続環境が改善できないのでもういいかなと諦めかけている(この話の詳しい内容はまた書く)。さて地震・津波から1週間がたち、こちらで確認できる状況でも死者・行方不明者の規模が1万5千人を越えている。前エントリで私が書いたことは呑気もいいところだったことがはっきりしたわけで、不明を恥じるしかない。書いた通り揺れを体感しているわけでもなく、BBCのニュース映像は見たがスケールがわからないのでどこか数箇所では津波で車が流されるとか、倉庫が潰されるとかいう被害が出たのだろうなあと思っており、さらに後の報道で被害エリアの地図などを見てようやく映像のような被害が例外的な地点でではなくかなり広範囲に生じたことが分かってあわてたという経緯があるのだが、まあ言い訳である。ある方から、こういう大規模な災害では被害者の規模は1週間くらいしないとわからないものだと指摘された。その通りであろ

    uumin3
    uumin3 2011/03/28
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  • 分限と懲戒 - おおやにき

    前原外務大臣が辞任したそうである。長年の支持者であった在日韓国人の焼肉店経営者から献金を受け取っていたのが政治資金規正法に違反するということだが、そのような人間関係を背景に・5年間で合計20万円という程度の金額をもらったことが辞任に値するような悪いことか、と聞かれれば戸惑わないではない。前原氏自身も「献金によって外相の職務に影響を受けたことはない」(asahi.com)と述べたようだが、確かに国会議員が動く規模の金額ではないだろうし、そもそも言われているような関係があればお金など渡さなくても前原氏が動くことはあったかもしれない。そして、そのような人間関係を介した影響力を禁止する法律はないし、禁止することもできないだろう。大臣が自らの出処進退について判断したことなのでこのような表現がそのままあてはまるわけではないのだが、しかし懲戒免職に相当するような「悪い」振る舞いであったかは確かに疑問で、

  • 一般職員とビジネスクラス - おおやにき

    あ~この程度でも騙される人多いんだろうなあと思った話。「一般職員もビジネスクラス使えます 独法・国立大の6割」(MSN産経ニュース)で、「独立行政法人と国立大学法人の約6割が海外出張規定で、役員以外の幹部や一般職員に対し航空機のビジネスクラス搭乗を認めていることが29日、財務省が行った平成22年度の予算執行調査で分かった」と言うわけですが。 まず記事の(ある程度やむを得ないとはいえ)不正確なところ。「政府では省課長以上が原則のビジネスクラスの利用」と書いてあるが、そのような規定ではない。正しくは、「国家公務員等の旅費に関する法律」(昭和25年法律114号)の第34条に外国旅行の航空運賃に関する規定があり、要するに「指定職(......)、七級以上の職務にある者」はビジネスクラスを使っていいと書いてある。一般的な行政官に適用される行政職(一)俸給表の七級というと省の室長(課長級)になる

  • 段取り - おおやにき

    参議院衆議院の衛藤副議長が民主党の議事運営について批判したのが「異例」だとして民主党関係者から批判されているらしく(「衛藤副議長が与党に苦言? 民主「唐突」と反発も」MSN産経ニュース)、つまり通常はこの種の発言をする場合には事前通告するものだということのようなのだが、事前に言ったら会議やらないつもりだろ? と思うわけで、というかこういうことをする人々が言えるようなことではないよねえ(「民主、問責提出の参院会議開催を異例の拒否 参院選、7月11日投開票正式決定」MSN産経ニュース。ちなみに事実自体は、たとえば朝日新聞も報道している。たとえばマイタウン鹿児島「さあ参院選 各陣営が格始動」(asahi.com)には、「再選を目指す自民の野村哲郎氏(66)は、参院会議のため、東京に足止め。結局、民主党側が会議を開かず、流会で会期を終了した。」との記述がある)。 でその、これは噂として出

  • なにをいまさら(2) - おおやにき

    ある方から伺って大変に感じ入った話に「政治家にとって重要なのは何を言うかではなく、何を言わないかだ」というのがあるのだが、その面のコントロールがまったくできていないことで有名な山岡賢治・民主党国会対策委員長がかつての国会審議をプロレスにたとえたところプロレスの中の人から怒られましたという愉快な件について(「民主・山岡議員が「八百長」発言 プロレスラーが「侮辱だ」と「公開質問」」J-CAST)。 え~私自身はプロレスに関する見識がまったくないのでその辺に関する言及は避けますが、まあ実際問題としてかつての国対政治と言われるものが与野党間の妥協と駆け引きと演出と儀礼的要素に満ちていたというのは当のことで、それは中島誠『立法学序論』や大山礼子『国会学入門』にも書かれてきたことであるし、私もねじれ国会問題と関係して紹介したことがある("Twisted Diet: A Failure in Legi

  • われわれの税金 - おおやにき

    鳩山一郎とはどういう政治家だったかという話をにこにこしながら留学生向けの英語講義で披露している(挨拶)。さてなにやら以下のような大学ができたというので一部で話題になっているようである。 日経済大学渋谷キャンパスは、940人の新入生の約9割を中国からの留学生が占める。他にも、ベトナム、ネパール、バングラデシュなど17カ国からの留学生を受け入れ、留学生率は99%。日人がたった12人という超異色大学の挑戦が始まろうとしている。(「新入生9割が中国人、渋谷に誕生した超異色大学:「全入」時代にあえて東京進出を果たした日経済大学」JB Press) でまあその「日人も学費不足で大学に行けないのに留学生には奨学金かよ」とか「こんな大学にも助成で税金が使われてるんだろ」とか怒っている人もいるようなので誤解は解いておくべきかなと思って多少書く。つうか最近特に前者関係でデマコピペをあちこちで見かけるよ

  • もと首相 - おおやにき

    ポーランド大統領の国葬に江田五月・参院議長を代表として送ることにしたそうですが、その理由が自民党の元首相たちに頼めないからってえあたりが素晴らしい。ああもう当にダメの子なんだなあ(「自民の首相経験者に頼めず...ポーランド国葬に江田議長」asahi.com)。 こういうものは国際儀礼なので、いくら当人の思いとしては弔意を尽しているつもりであっても花柄の服を来て日で通夜に行ってはいけないのと同様、相手方が納得するような形式を整えることが最重要で、その点国会議長というのはまあ三権の長だから最低限失格ではないと思うけどなんでって話にはなる。外交を直接担当している行政府の長でも、大統領や君主のように国家の象徴としての機能を担っている人でもないんだから。しかも参議院というのは、もちろん日では対等ということになっているけれども常識的に民主的正統性において劣後する院、上院ですわな。同じ上院同士のお

  • 人権の衝突 - おおやにき

    なにやら沖縄返還の際に密約は存在したと外務省の元局長の人が証言したそうで(「沖縄密約「文書に署名した」 元外務省局長、法廷で証言」asahi.com)、テレビが西山太吉氏をえらいことフィーチャーしていたのだが密約の有無にかかわらず西山氏は「当初から秘密文書を入手するための手段として利用する意図で女性の公務員と肉体関係を持」つというジャーナリズム倫理上最低最悪に近いことをした人物であって(最高裁判決)、いや「密約が存在したんじゃないか」という当時の判断とか「こいつを落とせば情報が手に入るんじゃないか」という嗅覚については正しかったものとして評価することができるだろうけれども表に出して表現の自由だの語らせていい人間じゃねえだろう。もうみんな忘れたと思ってんのかな。それとも人もマスコミの人も気で覚えてないんだったりして。 話は変わるが、前にも書いたビラまき裁判については、最高裁でも控訴審判決

  • 異世界通信 - おおやにき

    私の『法解釈の言語哲学』というはお互いに同じことをしているつもりで振る舞いも一致しているので安心していたらある日突然実は全然違うルールに沿って行動していたことが発覚するかもしれませんよという、まあ我ながら神経症的な問題を扱ったものなのだが(*)、こういう文章を見るとやっぱり日常的にも異世界言語を喋ってる人と接触してるんじゃないかなあという気がしてくるわけです(挨拶)。「サンデー時評:「ヒトラー呼ばわり」をめぐって」(毎日jp・ウェブ魚拓)。なんか「鳩山由紀夫首相は失言、放言がほとんどない」んだって。ふ〜ん、ほ〜お。 まあもちろん問題は「失言、放言」の定義に依存するわけであって、漢字の読み間違いや事実に関する不正確な発言(カップラーメンの値段とかな)だけが「失言、放言」であると定義されれば、うんまあ確かにあまり鳩山氏の発言にはその種のものはないのかもしれない。普天間基地問題をめぐる発言の変

  • うかつメディア - おおやにき

    というわけで民主党が圧勝したわけだが、まあこれはこれで良かったのではないか。というのはこれなら責任の所在がどこにあるのかは明確になるので、良かれ悪しかれ評価はしやすいよねと。都議選のときのような微妙な勝ち方(第一党ではあるが多数党ではない)だと、まあそれは地方自治体の二元的代表制の問題もあるのだが、政権運営は第一党の数を使って妨害しつつ責任は「多数派ではないので」とか言って回避するという戦略があり得るので、それは困る。まあとにかく決定が行ない得る状況の方が、どうにもならないスタック状況よりはいいのではないかと思う。 このあたり、もちろん私自身の政治的preferenceは生活保守なので民主党の掲げる施策のほとんどに賛成できないのだが、しかしpreferenceどうこう言えるのはシステムが存在し動作している限りにおいてなので、ないよりはあった方がまし。Twisted Diet論文に関して某先

  • 幻想の共同体 - おおやにき

    実家に寄ったので読売を読んでいたら、秋葉原の連続殺傷事件は人を取り替えのきく部品のように扱う現代社会の帰結で犯人を暖かく包む伝統社会とか共同体とかがあれば起きなかったのではとか書いている人がいてええと津山三十人殺しってどういう時代に起きたんだっけ(挨拶)。世話好きおばさんがいたら非モテでもお嫁さんとか来てくれて幸せになれたのではとかいう趣旨のことが書いてあったような気がするんだけど、匿名性が高くて属性を隠蔽できるネット上の掲示板ですら「こいつなんかヘン」だと気付かれちゃうような人間の居場所が閉鎖的で固定的な共同体にあるわけないじゃん。村中から後ろ指差されて違う形で暴発してただけなんじゃないの、とは思うところ。 というか現代社会が行為や所属の領域を分断することによって「ちょっとヘン」な人がそのヘンさを日常とは違うところで表現したり発散したり、とにかく周囲の社会には気付かれずに平穏無事に生きて

    uumin3
    uumin3 2008/07/18
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