「ロシアは理性では理解できない。ただの物差しでは測り知れない独特の奥深さがある。ただできるのは、ロシアを信じてみること」 19世紀の詩人、チュッチェフはロシアをこう評した。当時、チュッチェフは、現在のロシアの姿を夢想だにしなかっただろう。だが、ここ最近のロシア経済の隆盛ぶりを見ると、この言葉はまさしく正鵠を射ている。 10年前、対外債務の不履行で世界を混乱に陥れたロシアの経済危機は、まるで幻だったかのような変貌ぶりを遂げている。危機後の状況をつぶさに見ないと、この変化を“理性”のみで理解するのはまさしく難しい。 1998年、財政危機に陥りどん底を経験したが、その後、ルーブル切り下げによる国内産業の復調と原油価格の高騰を主な原動力として、8年連続でプラス成長を続けている。2007年上半期の実質GDP(国内総生産)成長率は7.8%を記録し、ロシア中央銀行は今年9月に2007年のGDP成長率予想