生沼泉 生命科学研究科助教と田坂元一 同博士後期課程学生、根岸学 同教授は、マウスの大脳皮質において、神経細胞が自身の周辺の「道しるべ」を感知して自らの樹状突起の形と向きを決定していくメカニズムを解明しました。 神経細胞は、1本の長い軸索と複数の複雑に分枝した樹状突起を持っています。軸索は、他の細胞への情報の出力元として、樹状突起は他の細胞からの情報の受け手として働きます。胎児の脳内で神経回路網が形成される際、軸索や樹状突起が的確な位置へ伸びていきシナプスを形成しますが、その際迷子になったり混線したりしないのは、脳内に「軸索ガイダンス因子」という物質が「道しるべ」として働き、軸索の形や向きを変化させるからです。軸索側を制御するガイダンス因子は、20年ほど前からよく研究されてきました。しかし、的確な回路網形成には、軸索だけでなく、樹状突起側の制御も必要ですが、樹状突起側の詳しい制御メカニズム