東日本大震災の復興財源に充てるために国家公務員の給与を特例法で引き下げたのは、人事院勧告(人勧)に基づいておらず憲法違反だとして、公務員370人と労働組合が、給与カット分と慰謝料など計約3億7千万円の支払いを国に求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。古久保正人裁判長は「引き下げには必要性があり合憲だ」として請求を退けた。原告側は控訴するという。 判決は、人勧に基づかない引き下げは「必要性、合理性がないと違憲になる場合がある」としたものの、今回は「震災で巨額の財源確保が必要であり、臨時的な措置だった」とした。 国家公務員の給与は、労使交渉ではなく人勧に基づいて決まる。だが震災後の2012年、復興財源確保のために2年間の期限付きで給与を平均7・8%カットする臨時特例法が成立。現行の制度下では初めて、人勧に基づかない引き下げが実施された。