【論説】2023年春の北陸新幹線敦賀開業時、北陸線が並行在来線としてJR西日本から経営分離される。県や市町、民間出資の第三セクターが石川県境―敦賀駅間の運行を引き継ぐが、見通しは明るくない。ただ事業主体が変わろうと、住民にとって身近な足であることに変わりはない。安定的な運行を支えるため、国のさらなる支援が不可欠だ。 整備新幹線の着工5条件に並行在来線の経営分離がある。旧国鉄が巨額の赤字を抱えた反省から、国は採算性の低い並行在来線を地方がJRから引き継ぐことを建設条件としている。 JRが手放しただけに、並行在来線の経営は全国どこもシビアだ。運行がまだ始まっていない福井県の場合も決して楽観視できない。県が18年にまとめた収支予測によると、23年度の開業時に既に8億2千万円の赤字。さらに10年後の33年度には人口減で1日当たりの乗客数が約2千人減ると予想し、赤字は15億円まで拡大するとみている。