福岡市中央区の起業支援施設で6月にIT関連セミナー講師が殺害された事件は、容疑者がインターネットの中だけで憎悪を膨らませ、現実世界の殺人に至ったという異例の流れをたどったことからネット上でも大きな話題となった。事件の背景や影響について専門家に聞いた。【聞き手・柿崎誠】 <事件の経緯> 6月24日夜に発生。東京都江東区の情報セキュリティー会社員、岡本顕一郎さん(41)がセミナー終了直後にナイフで複数回刺されて死亡。直後に交番に出頭した福岡市東区の無職、松本英光容疑者(42)=鑑定留置中=が殺人容疑などで逮捕された。 松本容疑者は匿名サイトで他のユーザーを「低能」「ゴミクズ」などと中傷する「荒らし」行為を繰り返し、ネット上で皮肉を込めて「低能先生」と呼ばれる存在だった。一方、岡本さんは「Hagex(ハゲックス)」のハンドルネームでブログを運営する有名ブロガー。自身のブログで荒らし被害に遭ってい
インターネットで流されるフェイク(偽)ニュースや怪しげな情報、「炎上」している事例などを素早く取材し、真相やその背景などを報告します。
福岡市中央区の起業支援施設でIT関連セミナーの講師をしていた男性が刺殺された事件は、ネット空間で膨らんだ憎悪が現実の世界の暴力となって表れる危険性を浮き彫りにした。事件発生から1日で1週間。事件の背景にネットの匿名掲示板における不特定多数とのやりとりがあった可能性が指摘されており、ネットユーザーらの間には「誰が狙われてもおかしくなかった」という不安が広がっている。【柿崎誠、石井尚、平塚雄太】 ネットの事情通らによると、殺人容疑で逮捕された福岡市東区の無職、松本英光容疑者(42)とみられる人物は数年前から、匿名掲示板で「低能」「ゴミクズ」などと他のユーザーを中傷する内容の書き込みを始めた。その後、他のユーザーから皮肉を込め「低能先生」と呼ばれるようになった。
かつては約4万6000人の人々が暮らした歌志内市。中心部の通りは通行人が途絶え、商店も大半が閉まっていた=北海道歌志内市で2018年3月30日、渡部宏人撮影 国立社会保障・人口問題研究所による2045年までの自治体別の将来推計人口が発表された。全体的な人口減のペースはやや減速したが、実際にブレーキがかかったのは、東京など首都圏が中心で、減少幅がより広がった秋田県など地方の自治体では「本当にそこまで減ってしまうのか」「県の存続に関わる」など危機感をあらわにしたり、戸惑いの表情を浮かべたりする関係者も少なくなかった。【山本康介、栗栖健、成田有佳】 「予測以上の(人口減と高齢化の)加速。非常に危機感を持っている」。秋田県の佐竹敬久知事はそう漏らした。30年で人口は4割以上減り、65歳以上の高齢化率は50%に達し、いずれも全国最悪。「(人口減の進む)日本の縮図が秋田。全国のヒントになる政策を」と語
在日コリアンらの排斥などを訴えるヘイトスピーチには生活保護受給者ら弱者を敵視する心理と共通性がある、との指摘がある=東京都港区で2015年10月、後藤由耶撮影 生活保護受給者やホームレスなど、社会で弱い立場にいる人への攻撃的な空気が広がってきたのはいつごろからだろう。格差社会のもと、経済成長を遮二無二追求する中で、「生産性が低い」ことなどを理由に、排除しようという心理が見え隠れする。【井田純】 昨年7月の刊行以来、じわじわ売れ続けている翻訳本がある。英国の若手コラムニスト、オーウェン・ジョーンズ氏(33)の「チャヴ 弱者を敵視する社会」だ。今年に入っても版を重ね、すでに5刷。出版した「海と月社」の松井義弘社長は「硬い内容で400ページ近いボリュームにもかかわらず、多くの人に読んでもらえている」と手応えを語る。 「チャヴ」とは貧困層に対する英国での蔑称で、「粗野」「怠惰」など否定的なイメージ
投稿履歴「首相答弁にそった改変側と阻止側の“編集合戦”」 一定のルールのもとで誰でも自由に編集できるインターネット百科事典「ウィキペディア」で、生活水準を測る指標の一つとしてなじみ深い「エンゲル係数」のページが凍結され、編集できない状態となっている。投稿履歴をたどると、係数上昇の理由について安倍晋三首相が国会で答弁した直後、これに合わせて内容を改変しようとする側と阻止を試みる側の“編集合戦”が過熱していた。【和田浩幸】 「エンゲル係数」は中学校で習う経済指標だ。家計の消費支出総額に占める食料費の割合で<一般に値が高いほど生活水準は低い>とされる。総務省の家計調査によると、2人以上の世帯の係数は2005年に22.9%で底を打ち、その後は横ばいが続く。第2次安倍政権以降は13年(23.6%)に上昇に転じ、16年(25.8%)まで4年連続で上昇。17年も高止まりだ。
地域に根ざす執筆もっと 小野渉さん(49) --インターネット上の百科事典「ウィキペディア」に執筆したきっかけは。 ◆2003年に日本版のウィキペディアができてから見ていましたが、近所の「酒折宮」や「不老園」をはじめ、地元を取り上げた記事が少なく、貧弱だったのが気になりました。読んでいるうちに自分でもできそうだと思い、09年11月にアカウントを取得しました。最初に書いたのは「山梨学院小」でした。これまで約80の記事を執筆し、12年からは国内45人しかしないウィキペディアの「管理者」も務めています。
自民公認サポーター組織 会員数1万9000人で「宣伝戦」 衆院選が終盤戦に差しかかり、ネット上でも支援者らによるツイッターなどでの「宣伝戦」が過熱している。とはいえ、どんな人たちが、どんな内容を発信しているのかつかみにくい。そんな中、安倍晋三首相にエールを送る与党第1党の応援団「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC、会員数約1万9000人)が開いた緊急総会がネット中継され、総会のやり取りからその一端が浮かんだ。【岸達也】 公示前の10月6日夜、東京・永田町の自民党本部。約250人が集まったJ-NSC総会では、国歌斉唱後、党職員がクイズ形式でネット上で許される選挙運動の期間や内容を説明。「当選させない目的で相手候補の虚偽事項や事実をゆがめ公にすると処罰される」「悪質な誹謗(ひぼう)中傷や公然と人を侮辱する行為も処罰の対象」と公職選挙法や刑法の名誉毀損(きそん)罪、侮辱罪への注意を呼び
「真田丸」を1年間駆け抜けた、堺雅人さん演じる真田信繁。「幸村」ではなく、史実上の名前の「信繁」が一気に広まった=NHK提供 この1年間、好調を続けてきたNHK大河ドラマ「真田丸」がいよいよ18日に幕を閉じる。初めて大河ドラマの時代考証を務めた国文学研究資料館特定研究員の丸島和洋さん(39)は、従来説を覆す最新の研究結果を反映させてドラマにリアリティーを持たせ、毎週日曜の放送後には自らツイッターでドラマの世界観を視聴者に解説してきた。「真田丸」とともに歩んだ1年間を3回に分けて振り返ってもらった。1回目は、時代考証の作業を通じて触れた三谷幸喜さん作の物語について聞いた。【錦織祐一/デジタル報道センター】
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