これまで2度(2010、2011年)ゴールデングラブ賞を獲得している岡田幸文。photo by Masuda Yuichi 昨シーズン、野球ファンは球史に残る瞬間に二度も立ち会う幸運に恵まれた。ヤクルトのウラディミール・バレンティンの60本塁打と、楽天の田中将大(現ヤンキース)の開幕24連勝だ。このふたつの大記録は、アンタッチャブルレコードとして、これから深い眠りに入っていく可能性が高い。その一方で、80年近く眠っていた“ある記録”が目覚めようとしているのをご存知だろうか。 ドラフト5位も実力は本物。ロッテの4番・井上晴哉ができるまで 横沢七郎という野球選手がいた。1936年に東京セネタースに入団。7年間の通算成績は平凡であるが、どこか異彩を放っているのである。出場448試合で1770打席に立ち、放ったヒットは263本。打率は.180と低く、盗塁も24個とわずかしかない。しかし、選んだ四