近年の不動産投資の理論的研究は、ファイナンス理論、金融工学といった角度からの数学的な精緻化が進み、現実の投資の実践シーンで普及、応用が進んでいる。加えてファンドやJ-REITの拡大は、不動産と金融技術の融合を飛躍的に進めており、米国で70年代に株式大暴落、変動相場制移行後、金利や金融商品の高いボラテリティへのリスクヘッジからオプション取引などで培養されたファイナンス理論が、80年代になって不動産投資の分野で伝統的不動産アナリストを凌駕したように、わが国においても不動産投資とファイナンス理論は、蜜月関係を構築しつつある。 モダンポートフォリオ理論(MPT)は、1952年、シカゴ大学の大学院生だったマーコビッツの博士論文「ポートフォリオセレクション:分散投資理論」で提唱された「平均・分散アプローチ」、「ポートフォリオの最適化理論」からスタートし、彼の業績を受けて、シャープが考案した資本資産価格