維新派。どこか不穏さを感じさせる名前の、この不思議な演劇集団は、その表現方法も独創的だ。埋め立て地や山奥に巨大な舞台を仮設し、数十人の白塗りの役者が、都市や山嶺を借景にして幻想的でノスタルジックな群衆劇を展開する。作品のために作られた街のような舞台は、終演後に即座に解体され、跡形もなく消えてしまう。とんでもなく壮大で、そして同時に脆く儚い演劇体験を求め、多くのファンが年に1度の野外劇に押し寄せるのも頷ける。 同集団を主宰する演出家・松本雄吉による作品が、池袋の東京芸術劇場で上演される。取り組むのは寺山修司の戯曲『レミング~世界の涯まで連れてって~』。野外ではなく劇場内での作品だが、寺山のシュールな世界観と、松本がこだわる身体性が融合することで、時間も場所も問わない作品が生まれることだろう。稽古に打ち込む松本に話を聞いた。 俳優は、世間への違和感さえ持っておけばいい。俳優自体が「違和感病」を