F・ハイニマン(廣川洋一ほか訳)(1983)『ノモスとピュシス: ギリシア思想におけるその起源と意味(1945)』みすず書房 本書の目的は、ノモスとピュシス(以下、N-P)のアンティテーゼ(以下、AT)の起源を解明する手がかりをヒッポクラテスの『空気、水、場所』(複数の手が加えられている)に求め、前五世紀末以来このATが広く用いられるようになった背景を探ることである。そのため、以下のような手順を踏む。①ノモス-ピュシスの概念結合が生じた精神的ならびに時間的範囲の確定(第一章)、②仮象と真理(カール・ラインハルトによるパルメニデス解釈からN-Pの起源とされたもの)のATとN-PのATが、いかにして思惑と真理のATに使われるようになったかの説明(第二章)、③そのATをソフィストがいかにして、倫理学と政治学、言語哲学と認識批判の領域へと転換していったかの説明とその他誤用の弁別(第三章・第四章)、
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