世界最大の陸軍を擁する人民解放軍。巨大なGDPとともに、中国の力の源泉とされる。だが、230万人と言われる兵士たちのほとんどはとうに戦う気をなくしているという。ジャーナリストの富坂聰氏がレポートする。 * * * 超大国アメリカに追いつけ追い越せと、人民解放軍の宇宙開発、ミサイル部門の強化は凄まじい。その中心的役割を担う第二砲兵部隊(二砲)には全国防予算の12~15%が配分されている。人材面でも共産党への忠誠心の高い超精鋭を取り揃えている。大いなる脅威だが、二砲の兵士は全体のわずか4%に過ぎない。全体を見れば、その他の約9割は堕落しきっており、末端まで機能しないだろう。 その典型が人民解放軍の悩みである「小皇帝」問題だ。一人っ子政策で甘やかされて育った彼らは厳しい訓練に耐えられないとたびたび指摘されてきた。その堕落ぶりはいよいよ加速している。 そもそも入隊時から賄賂が横行している。就職難の