昨年、米オバマ大統領が宣言したように、サイバーセキュリティの脅威は今や“戦争”と位置付けられている。望むと望まないに関わらず、あらゆる人や企業は、すでに国家レベルの大きな戦いに巻き込まれてしまっているわけだ。「このまま自覚なく時を過ごせば取り返しのつかない敗北を喫することになる」と警鐘を鳴らすのは、ラック 執行役員 サイバーセキュリティ研究所所長で、陸上自衛隊システム防護隊 初代隊長の伊東寛氏だ。今、世界のサイバー攻撃はどれほど危険なのか。また、それに対して国や企業にできることは何なのか。話を伺った。 ──セキュリティに関して企業がさらされている脅威の状況をどのようにご覧になっていますか? 伊東 残念ながらどんどん悪化しているといわざるを得ません。1980年代、それはまだ個人のいたずらというレベルでした。2000年前後を境に、それは金銭の取得を目的とした攻撃が始まって、現在はITを通して、