西 雄大 日経ビジネス記者 2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。 この著者の記事を見る
前シリーズでは、ザクとうふ、ズゴックとうふといういわば“際物”で有名になった同社が、実は絹、木綿豆腐というメインの「量産品」に思い切った投資を行い、日本一の豆腐メーカーに急成長した企業であることをご紹介しました。その推進力は、ただのガンダムファンかと思いきや、意外なまでの戦略家だった鳥越社長によるところが大きい。さらに言えば、彼を鍛えたのは、相模屋入社前のサラリーマン時代にあることもお伝えしました。 大ヒットしたザクとうふはヒット商品番付に載るわ、鳥越社長は年末年始のテレビ特番に出まくるわ、と、大変な騒ぎ。 でも、ヒットしたから言いますが、「とうふ」と「ガンダム」の組み合わせは、常識はずれだしむちゃくちゃです。まして、木綿と絹で日本一になった企業なら、あえてそんなバクチに乗り出さなくてもよかったはず。 社長だったら何でも通る、わけはない 商品としてなぜヒットしたのかの理由は、前シリーズをお
瀬戸 久美子 日経WOMAN編集部 旧・日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経WOMAN、日経TRENDY、日経ビジネス編集を経て2013年4月より現職。 この著者の記事を見る
グーグル、フェイスブック、ツイッターなど、人々の生活や働き方を変える技術と衝撃をもたらすインターネット企業を数多生み出してきた米シリコンバレー。この地にまた1つ、世界を変えようとするネット企業が脚光を浴びている。 その名は、エバーノート。パソコンやスマートフォンなど、様々な情報端末で作成した「メモ」をインターネット上に一元管理できる「Evernote」を提供する。極めてシンプルなコンセプトと使い勝手の良いサービスは瞬く間に心を捉え、利用者は急増。2008年のサービス開始から4年で、世界の利用者数は約4000万に到達し、日本、中国、ヨーロッパなど、世界的なサービスとなった。 当然、投資家もエバーノートを放っておかない。セコイアキャピタルやメリテックキャピタルパートナーズなど、シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタルが同社に出資している。会社評価額は既に10億ドル(約800億円)規模となり、
豆腐の定番中の定番、木綿豆腐と絹ごし豆腐。市場規模6000億円と、意外に大きな市場の大半を占める。とはいえ、豆腐は絵に描いたようなコモディティ、安売り競争のレッドオーシャンでもある。「ニッチ狙いの商品ならともかく、いまさら普通の木綿や絹にイノベーションなんてあるわけない」と、たいていのビジネスマンなら思うところだ。 そこに年商以上の費用を投じて、ロボットまで導入した超量産工場(第三工場)を作って攻勢に出たのが相模屋食料(以下相模屋)。賭けは当たり、10年間で売上高は4.5倍に伸びた。ついには「ザクとうふ」「鍋用!ズゴックとうふ」のような、鳥越社長の趣味と販促効果を両立するヒット商品まで生み出している。 それにしても、雪印乳業の営業マンから転じて相模屋の社長になった鳥越淳司氏は、いつ、どのようにして、豆腐マーケットに眠っていたこの勝機に気づいたのだろうか。 * * * (承前 前回か
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