メディアでの評価と実際の印象に差があることは別に珍しいことではないかもしれないが、ここまで落差が際立つのは稀だ。NHKの連続テレビ小説『梅ちゃん先生』について、作家で五感生活研究所の山下柚実氏が分析する。 * * * これまで『カーネーション』や『はつ恋』など、話題のドラマをテーマにしてコラムを書いてきました。ところが。コラムの対象にしようと思っても、なかなか俎上に載せられないドラマがあります。例えば今放送中のNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』。何度も見ようとトライしたけれど、なかなかしっかり集中して見ることができない。 それはなぜなのか。 「そんなの現実ではありえないわ」、「嘘くさい」、「不自然すぎる」。見ている最中から、自分の口をついて出てくるツッコミ。1回の放送・15分間が、とてつもなく長く感じてしまうのです。ドラマ世界にちっとも没入できないからです。 まず、主人公・梅ちゃん(堀北