映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・三田村邦彦が、後に代表作となった「必殺」シリーズの飾り職人の秀役を引き受け、続けると決めたときの葛藤について語った言葉をお届けする。 * * * 三田村邦彦は一九七九年に時代劇「必殺」シリーズの第十五作『必殺仕事人』で仕事人チームの一人「秀」を演じ、一躍人気スターになる。主人公の中村主水は藤田まことが演じた。 「最初は『必殺』は辞めたかったんです。お金をもらって人を殺して正義面をするというのが、嫌で。それでマネージャーに『できない』と言ったのですが、2クールだけやることになって。でも、それが延びると聞いて、プロデューサーに直接『できません』と言いました。 そうしたら、藤田さんが『ちょっと話そうか』って。それで僕は自分の思いを話しました。そうしたら、藤田さんはこうおっしゃるんですよ。 『わしは中
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