うっすらと雪が積もった2010年12月4日の飛騨高山の朝――。今年も世界中のアニメクリエーターが注目する「メルヘンアニメ・コンテスト」授賞式が、岐阜県高山市の飛騨・世界生活文化センターにて開催された。 第9回目となるこのコンテスト。歴史を重ねる中で、優れた作品を選び出す“装置”としての機能は年々研ぎ澄まされている。事実、2008年には加藤久仁生監督の『つみきのいえ』が最優秀作品賞に選ばれ、その後、米アカデミー賞の短編アニメーション賞を受賞するという状況も生まれているのだ。まさに新鋭作家の登竜門的な位置づけになりつつあるコンテストと言えよう。 そんな若手クリエーター垂涎の今年の最優秀作品賞に輝いたのは、助川勇太監督の『灯花(The Light)』。吹雪の中で電柱から落ちつつある古びた電灯と、その電灯が灯すぬくもりによって芽吹いた一輪の花との、はかなくも強い絆を描いたストーリーで、心に染み入る