日ごろ何気なく使うエンジン(engine)の語源は、なかなか探すのに苦労した。 それに対して、エンジニア(engineer)の語源を『科学史技術史事典』(弘文堂)に発見するのは容易だった。 なんでも「天才」が本来的な意味だったようだ。ルネサンス期に生まれたのだそうで、レオナルド・ダ・ヴィンチやアルベルティがその対象であるという。なるほど、首肯できる説ではある。 それも軍事技術者を指していたというから、穏やかではない。 もともと、ギリシア語ではデミウルゴス(demiurgos)=「民衆のために働くもの」と言われ、ラテン語ではアルキテクトゥス(architectus)=「棟梁」だというのが、その始まりの呼び名であった。 技術者の社会的な位置づけがよくわかる。人々の社会的事業(治水や築城、道路や橋梁構築など)に際して、人々を効率よく働かせ指導する。天災や強敵に立ち向かうには、その才幹には神的な閃