IT活用に限らないとは思いますが,手段と目的がすり替わることがしょっちゅうあります。例えば3次元CADで言えば「図面なしで試作や金型製作の手配ができるようになっているのに,なぜか2次元図面も描かなくてはならない」という話の取材のときに,「大事な寸法や公差の指定にも図面が要るし,検査にも図面を使う」というような話が出て,「ビューワなどで代替はできるのでは? こうやれば図面はなくせるのでは?」などと質問していると「図面をなくすことが目的じゃないでしょ」などと取材先の方に叱られる。そうですよね,あくまで品質の高いものを早く造るのが目的でした。 もう一つ,代表的な例がERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)パッケージ。「業務のベストプラクティス(=最もうまくいきそうな仕事のやり方)を実現する」のが目的だったのが,推進しているうちにいつしか「企業内の情報共有基盤となるデータベースを整備した