昨夜(ゆうべ)、眠れずに、泣いていた。 はあちゅうの「通りすがりのあなた」を、好奇心から手にした俺が馬鹿だった。深く傷ついた。伊藤春香には、少なくとも近代日本正統の小説家たる資質は、まったく、何ひとつ、ない。押切もえのときにも深く傷ついて嘆息したのだけれど、はあちゅうからは、それを上回る痛手を受けた。そうはいっても何かしら、ひと櫛、ひと欠片、ひと滴、の可能性を著作から探ってやるのが礼儀と思い、彼女のアマゾン(ほぼ)全作品を注文した。 それが、これから1週間にわたって届く。届いたら、読んでしまうのだろう。 俺がこれまで、わるい女に騙されてきたときの、典型的なパターンだった。悪夢だ。泣きながら寝た。 * 山際淳司には、ボクシングの秀作が大きく3つあります。 時系列順に、まず、ひとつめが、春日井健を描いた「ザ・シティ・ボクサー」。ふたつめが、大橋克行(秀行会長ではない)を描いた「逃げろ、ボクサー