首相の安倍晋三が、2016年6月1日に記者の前で「新たな低利貸付制度で、リニア計画を前倒しする」と発表し、巨額の財投資金が、この瞬間に動き出した。 「いや、あの融資条件は、他に聞いたことがないですね」。同じ財政投融資という融資スキームを扱っている日本政策金融公庫の幹部も首をかしげる。 「そもそも、30年後から返すって、貸す方も借りる方も責任者は辞めているでしょうし、生きているかどうかも分からないですよね」 責任者は誰だ 破格の融資スキームを設計した責任者を追った。まず、財投をJR東海に貸し付けている鉄道建設・運輸施設整備支援機構に聞いた。電話口で「うちは事務をしているだけで、来てもらっても何も話せません」という。それでも横浜市にある本社を訪ねると、組織の説明はするが、財投に話を向けた瞬間、「それは国交省でお答えいただいている」と繰り返すばかり。 ところが、国交省の幹線鉄道課に足を運んでも、
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