「科学は変わる」 [経歴の紹介から始めること] それでは最後に、高木仁三郎さんの書かれた「科学は変わる」という本を紹介します。ですが、本の内容の紹介を始める前に、高木さんという人がどのような生き方をしてきた人であるかを、簡単にお話ししておくことにします。この本の紹介にとって、それが必要だと思うからです。 とはいっても、この「科学は変わる」という本は、高木さんの個人的な経験について述べている本ではありません。あくまで論理的に、科学技術の持つ問題点とそのあるべき姿を論じたものです。そうであるなら、普通は著者の経歴などあまり問題にはならないはずです。重要なのは、あくまで議論の論理構成であるはずだからです。しかしこの本(あるいは、高木さんの他の科学論の本)に限って、著者である高木さんの生き方と切り放すことできないように思います。それは、この本の結論が科学者の生き方を問う内容であるからであり、