平均を取れば誤差は減る? 偶然誤差というのは測定しようとしている対象の真の値の周囲にバラつくものである.多数の測定を行って平均を計算することで,真の値に近い結果を得ることが出来る.その時,誤差(確からしさ)の程度をどのように見積もって,どのように表現したらいいのかを考えてみよう. ところで,測定する対象によっては「真の値」と呼べるものがない場合もある.典型的なのは量子現象が絡む場合である.これは自然そのものが,測定のたびに,確率的にバラついた値を返してくるのである.どこまでも正確な測定を行うことができたとしてもやはり値はバラついているというのが,この場合の自然の本性である. さらに深く考えると厄介な考えに到達する.そもそも我々が実験で得るのは様々な誤差を含んだ測定値でしかない.つまり,我々は決して「真の値」というものを知りようがないのである.こうなるとこの世に「真の値」と呼べるものがあるか