1959年2月26日、ディアトロフ峠で遭難した登山グループのテントを調べるソ連の捜索隊。テントは内側から切り開かれ、多くのメンバーが靴を履かずに靴下か裸足で外に出ていた。(PHOTOGRAPH COURTESY OF THE DYATLOV MEMORIAL FOUNDATION) 60年以上前のロシア(当時はソ連)で起きた悲惨な出来事は、秘密の軍事実験やイエティ、さらには地球外生命体との接触まで、さまざまな陰謀論を産み出してきた。しかし現時点で最も納得でき、最も理にかなっていると思われる仮説は、自動車事故の実験や映画『アナと雪の女王』で使われたアニメーションをヒントにした雪崩のシミュレーションにもとづくものだ。 スイスの2人の研究者が2021年に発表したデータは、9人の雪山登山者にむごたらしい死をもたらしたのは、不思議なほど規模の小さい遅発性の雪崩が原因だった可能性を示唆していた。雪山で