タグ

ブックマーク / realsound.jp (37)

  • 『ルックバック』大ヒットスタートも、「ODS作品」としての公開に残る謎と疑問

    6月最終週の動員ランキングは、『それいけ!アンパンマン』シリーズの劇場版最新作『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』が、オープニング3日間で動員13万7000人、興収1億7200万円をあげて初登場1位に。劇場版1作目が製作されてから35年目、35作目にしてシリーズ歴代オープニング興収更新というのは十分にニュースではあるのだが、今回は同日に公開されて、『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』を大きく上回るオープニング興収を記録した『ルックバック』を取り上げるべきだろう。 『チェンソーマン』を世に送り出した人気漫画家、藤本タツキの読み切り作品をスタジオドリアンの押山清高が監督を務めアニメーション作品化した『ルックバック』のオープニング3日間の動員は13万5000人、興収は2億2700万円。注目すべきはそのスクリーン数だ。『それいけ!アンパンマン ばいきんまんと

    『ルックバック』大ヒットスタートも、「ODS作品」としての公開に残る謎と疑問
  • “コミュニケーション禁止”の官製メタバース『ぷらっとば~す』に感じた3つの課題

    メタバースなのにユーザー同士のコミュニケーションが禁止されている」とX(旧Twitter)で大きな話題になっているのが、2024年5月の孤独・孤立対策強化月間のために内閣府が提供している特設メタバース『ぷらっとば~す』だ。 アバターの姿でコミュニケーションできるメタバースは孤独・孤立対策に有用そうだが、肝心のユーザー同士のコミュニケーションが禁止されていると聞くと、一見元も子もないように思える。 この記事では、ソーシャルVR等のメタバースで日常生活を送るヘビーユーザーの一人である筆者、VTuber・作家のバーチャル美少女ねむが『ぷらっとば~す』の体験の違和感、内閣府の狙い、利用して感じた3つの課題、そして仮想空間による孤独対策の可能性を整理して解説する。 『ぷらっとば~す』実際に体験してみた まず、実際に「ぷらっとば~す」を体験してみたところ、なかなかにショッキングな体験だったので順を追

    “コミュニケーション禁止”の官製メタバース『ぷらっとば~す』に感じた3つの課題
  • Z世代に「オールドコンデジ」なぜ流行? 秋葉原のカメラ専門店で聞いてみた

    Z世代を中心に勢いを増している“オールドコンデジブーム”。30代の筆者にとって、コンデジは学生時代を彷彿とさせる懐かしい存在だ。だが、その懐かしさを知らない世代の若者のあいだで、なぜかいまコンデジが流行している。 流行の火種は、TikTokやInstagramといったSNSだ。アプリ内で「デジカメ」「コンデジ」といったワードを入力すると、写真だけではなくオールドコンデジの入手方法や設定の仕方、画像の取り込み方法まで紹介されている。 今回は、オールドコンデジのコーナーを店内に設置している、中古カメラ専門店『2nd BASE』を訪ね、いまのコンデジブームについてどう感じているのか、現場の目線で語ってもらった。また、具体的にはどの機種が人気なのか、レトロな仕上がりで撮影できる方法やコツについても教えてもらった。 音楽業界まで広がりを見せるオールドコンデジブーム 『2nd BASE』は、秋葉原の高

    Z世代に「オールドコンデジ」なぜ流行? 秋葉原のカメラ専門店で聞いてみた
  • 『哀れなるものたち』が映し出す“現在”の問題 奇妙な物語と過激な描写を通して伝えること

    野蛮さと洗練されたセンスという、一見矛盾した要素を併せ持つスタイルが、観る者たちの心をざわつかせ、類まれな知性と才能でアートフィルム界に、その名を刻んできたヨルゴス・ランティモス監督。『ロブスター』(2015年)、『聖なる鹿殺し』(2017年)、『女王陛下のお気に入り』(2018年)と、その手腕はますます冴えを見せ、名だたる映画賞を次々に獲得している。 そして、ついにヴェネチア国際映画祭の最高賞、金獅子賞に輝いたのが、『哀れなるものたち』である。さらにはゴールデングローブ賞でも複数の受賞を果たし、アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演女優賞を含む11部門にノミネートされ、これまで以上の快進撃を見せている。それだけでなく、アメリカでの興行収入も好調で、作は、もはやランティモス監督を、アートフィルムの枠を超えた存在に押し上げることとなった。 それもそのはずで、作『哀れなるものたち』には、“

    『哀れなるものたち』が映し出す“現在”の問題 奇妙な物語と過激な描写を通して伝えること
  • コンビニから本がなくなる? 取次最大手「日販」が配送事業を終了 「LAWSONマチの本屋さん」はどうなる

    コンビニからがなくなる? 取次最大手「日販」が配送事業を終了 「LAWSONマチの屋さん」はどうなる 出版取次大手の日出版販売(日販)が、コンビニエンスストアに雑誌や書籍を配送する事業を、2025年2月には終了するという。10月26日、共同通信社が報じた。現在、日販は全国のファミリーマートとローソン計約3万店に配送している。共同通信社によれば、撤退後は、セブンイレブンに配送しているトーハンが配送事業を引き継ぐ方針とのことだ。 いよいよ、格的な紙離れの影響が出てきたか、という印象である。コロナ禍の中で、電子書籍の売上は伸びた一方で、紙の書籍の売上は落ち込みつつあり、リアル書店の数も減少した。日版のコンビニからの撤退は、これまで堅調と思われていたコンビニですら、紙の雑誌・書籍の売上が落ち込んでいることを如実に表している。 しかし、今回の決定を冷静に見る識者も少なくない。というのも、以前

    コンビニから本がなくなる? 取次最大手「日販」が配送事業を終了 「LAWSONマチの本屋さん」はどうなる
    white_rose
    white_rose 2023/10/30
    立ち読みできなくなったから外から見える雑誌コーナーも減ったしそこに人が留まることも減った
  • 人気の本、なぜ地方の書店では仕入れることができない? 「【推しの子】って、今売れているんですか(笑)」

    リアルサウンドブックでたびたび登場している、秋田県羽後町の「ミケーネ」は、人口約1万3000人の農村の田園風景の中に立つ個人経営の書店だ。実は記者が小学校のころから通っている書店で、数多くの漫画との出会いの場を提供してくれた店でもある。今回は阿部久夫店長と、「ミケーネ」で漫画を買うというラブライバーの武田遼哉さんに直撃インタビュー。地方の書店の現状と課題、そして未来について考えてみた。 「ミケーネ」の外観。地域の文化発信基地である書店を守ることはできるのだろうか。 地方書店はAmazonのVIP顧客!? ――書店に関しては、都心と地方の格差が著しいと言わざるを得ません。おそらく、一般のお客さんは数十万部が印刷されるベストセラーは、どこの書店に行っても並んでいると思っているかもしれません。しかし、実態は人気のあるタイトルほど大都市の大型書店に集中し、地方の個人経営の書店に並んでいないという実

    人気の本、なぜ地方の書店では仕入れることができない? 「【推しの子】って、今売れているんですか(笑)」
  • 『怪物』を観た後に残った違和感を考える “わかりやすさ”と引き換えに手放したのもの

    流れてくるエンドロールの文字を見て、「なるほど」「やっぱり」と妙に腑に落ちる思いがした。これは、第76回カンヌ国際映画祭の最優秀脚賞、クィア・パルム賞を受賞したことでも話題の、大ヒット中の映画『怪物』を観終えたときの第一印象だ。 監督はご存知、『そして父になる』(2013年)で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞、『万引き家族』(2018年)ではカンヌ最高賞のパルムドールを受賞した是枝裕和。第1作の『幻の光』(1995年)を除き、これまで全てのシナリオが自作だったことでも知られる是枝監督が、他者のシナリオを映画化することでも、発表当初より注目されていた。 しかも、そのシナリオが『東京ラブストーリー』(1991年/フジテレビ系)などの往年の名作から近年の『カルテット』(2017年/TBS系)『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年/カンテレ・フジテレビ系)、映画『花束みたいな恋をした』(

    『怪物』を観た後に残った違和感を考える “わかりやすさ”と引き換えに手放したのもの
  • 斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」

    斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」 美しく華やかな舞台で多くのファンを魅了する紅華歌劇団は、100年の歴史をもち、未婚の女性だけで構成されている。そんな歌劇団の人材を育成する紅華歌劇音楽学校に、「オスカル様」に憧れる天真爛漫な渡辺さらさと、元・国民的アイドルの奈良田愛ら、40名の少女が第100期生として入学した――。 未来のスターを目指す少女たちの青春群像を描く『かげきしょうじょ!!』は、斉木久美子による大人気マンガだ。2012年に「ジャンプ改」(集英社)で連載が始まり、同誌の休刊後は「メロディ」(白泉社)に移籍して物語は継続されている。今年7月には最新11巻が発売、そしてTVアニメも放送が開始された。新刊リリースとアニメ化、また漫画家生活25周年といくつもの節目を迎える斉木久美子氏に、『かげきしょうじょ!!』に

    斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」
    white_rose
    white_rose 2021/09/04
    あの数々のスピンオフの魅力は短編で培われたものなのかな。/原作の素晴らしさに比べるとアニメの出来にはかなり不満がある。もっと大ヒットするポテンシャルあるのに。
  • 『シン・エヴァ』ラストカットの奇妙さの正体とは 庵野秀明が追い続けた“虚構と現実”の境界

    稿には、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の結末を含む内容への言及があります。 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のラストカットは、とても奇妙な映像だ。しかし、それは嫌な奇妙さではない。 宇部新川駅を空撮で撮影した実景映像がベースなので、実写映像と言えるかもしれない。しかし、その現実を切り取ったはずの実景の映像に現実でないものが交じり合っている。 走り去るシンジとマリは手描きのアニメーションだ。よく見ると道行くモブキャラも大半がおそらくCGで作成された架空の通行人である。しかし、当に撮影時にいたであろう、自転車に乗った生身の人間や通りかかった車も存在している。そして、すでに引退した過去の車両が走っている。現実に存在するものと、存在しないもの、そして、かつて存在したものが同居している。シンジとマリは、CGのように実景と馴染ませるわけでもなく、3コマ打ちのアニメキャラとわかるようにそのまま存

    『シン・エヴァ』ラストカットの奇妙さの正体とは 庵野秀明が追い続けた“虚構と現実”の境界
  • 【ネタバレ】『エヴァ』は本当に終わったのか 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』徹底考察

    稿には、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の結末を含む内容への言及があります。 2007年からシリーズの公開が始まった、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』。その4作目にして、シリーズ最終作となったのが、タイトルを一新した『シン・エヴァンゲリオン劇場版』だ。TVアニメ版『新世紀エヴァンゲリオン』、旧劇場版を経て、再び出発したシリーズが14年の長期に渡って公開され、前作から8年と数カ月を経て最終作が公開されたというのは、異例づくめといえる出来事だ。このような新シリーズのスケジュールは、庵野秀明監督はじめ作り手側にとっても予想していなかったはずだが、それでも成立してしまうというのは、『エヴァ』全体の熱狂的な人気があってこそだ。製作が長引き延期を重ねながらも、シリーズの興行成績は落ちるどころか、右肩上がりになっていった。 さらに、公開前に発表された「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」という、最終作と

    【ネタバレ】『エヴァ』は本当に終わったのか 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』徹底考察
  • 『PUI PUI モルカー』ブレイク前夜、監督・見里朝希が語った“制作秘話” 「声優はモルモット以外の選択肢がなかった」

    1月10日ごろからTwitterでバズリ、一気に大ブレイクした『PUI PUI モルカー』。作は1月5日からテレビ東京系列「きんだーてれび」内で放送が開始された、ストップモーション(コマ撮り)アニメーションのショートシリーズである。 稿では昨年12月18日に開催された配信イベント「1月放送開始!注目のパペットアニメ『PUI PUI モルカー』と監督・見里朝希の世界」から一部を記す。ショート系の作品は長編映画や30分枠のテレビシリーズなどに比べると、事前の露出が限られてしまいがちなだけに、ブレイク前夜を窺える数少ない資料になった。 登壇したのはラッパーの宇多丸氏、監督の見里朝希氏。進行は宣伝プロデューサーの山和宏氏が務めた(宇多丸と見里が話すのは今回が初めてとのこと。ちなみに2016年の第10回TOHOシネマズ学生映画祭にて、宇多丸は「ライムスター宇多丸×学生」と題された学生実行委員と

    『PUI PUI モルカー』ブレイク前夜、監督・見里朝希が語った“制作秘話” 「声優はモルモット以外の選択肢がなかった」
  • 新文芸坐×新宿武蔵野館×立川シネマシティの担当者が語り合う、コロナ禍以降の映画館

    取材協力=立川シネマシティ・遠山武志、新宿武蔵野館・西島新、新文芸坐・花俟良王、文・取材=アナイス(ANAIS)、石井達也 新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年。4月には緊急事態宣言が発令され、映画館は一時閉鎖状態にまで陥った。再び1都3県に緊急事態宣言が発令され、業界全体に暗雲が立ち込めている現在、映画館側は一体どのように切り抜き、今後どのように戦っていくのか。 コロナ禍以降の映画館運営や、配信との同時公開問題、映画館で映画を観る醍醐味などを、立川シネマシティの遠山武志氏、新宿武蔵野館の西島新氏、新文芸坐の花俟良王氏を迎え、語り合ってもらった。(12月某日取材実施) コロナ禍以降、運営面での変化 ーーコロナ禍以降、座席数の減少や飲の禁止など、これまでとまったく異なる映画館運営が求められたかと思います。実際に現場ではどのような変化が起きたのでしょうか? 遠山武志(以下、遠山):運

    新文芸坐×新宿武蔵野館×立川シネマシティの担当者が語り合う、コロナ禍以降の映画館
  • 映画館の収益は売店頼りって本当? 『鬼滅の刃』驚異的大ヒットを機に再確認したい映画館の意義

    東京は立川にある独立系シネコン、【極上爆音上映】等で知られる“シネマシティ”の企画担当遠山がシネコンの仕事を紹介したり、映画館の未来を提案するこのコラム、第43回は“映画館の収益は売店頼りって当?”というテーマで。 『鬼滅の刃』驚異的大ヒットに救われた映画館 『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable コロナ禍で壊滅的な打撃を受けている映画館業界ですが、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の驚異的な超特大ヒットに、当に救われています。 緊急事態宣言明けの再開直後の6月は、立川シネマシティでは前年同月比で2割に満たないという、さてそろそろ閉館の貼り紙の下書きでも始めるか、と思わせる惨憺たる状況でしたが、ようやく10月には7割程度にまで戻ってきました。 映画館として期待してしまうのは、今回の『鬼滅の刃』の劇場版は、純粋なアニメ版の続きだということ

    映画館の収益は売店頼りって本当? 『鬼滅の刃』驚異的大ヒットを機に再確認したい映画館の意義
  • 空前の『鬼滅の刃』現象 映画興行は「なりふりかまわない」新基準へ

    今週ほどこのコラムが書きにくい週はない。全国各シネコンの公開初日の異常なまでのスクリーン割り多さが明らかになった先週半ば以降、ソーシャルメディア→ウェブメディア→テレビという順番で、あらゆるところで話題の中心となっている『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の爆発的ヒット。今さら数字を上げるのも躊躇われるが一応。10月16日に公開された同作の初日金曜日の動員は91万507人、興収は12億6872万4700円。土日2日間の動員は251万人、興収は33億5400万円。オープニング3日間の動員は342万493人、興収46億2311万7450円。いずれも2位以下を大きく引き離して、歴代1位となる空前の初動成績を打ち立てた。 この数字は、先週末2位に初登場した『夜明けを信じて。』の約25倍。今年公開された『コンフィデンスマンJP プリンセス編』、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』、『事故物件 恐い間取り』

    空前の『鬼滅の刃』現象 映画興行は「なりふりかまわない」新基準へ
  • 『pet』連載終了から17年、今なお人々を惹きつける理由は? “まだ見ぬ世界”描く三宅乱丈の作家性

    現在、TOKYO MX 毎週月曜22時で放送中、および、Amazon Prime Videoで独占配信中のアニメ『pet』。人間の精神に入り込み、記憶を操り人間性を破壊するほどの特殊能力を持つ超能力者たちの苦悩や強い執着心を伴う人間関係を、力強い筆致でドラマチックに描いた作品だ。“ペット”とは、作中で彼らが呼ばれる蔑称である。 原作は三宅乱丈の同名作品。2002年に『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載を開始し、2003年に単行全5巻で完結、2009年には『ペット リマスター・エディション』として、全編にわたり大幅な加筆修正と描き下ろしが加わった単行KADOKAWAから発売された。 今回のアニメ化は、『デュラララ!!』『夏目友人帳』の監督を務めてきたアニメーターの大森貴弘氏が10年以上映像化を切望し、配信サービスの充実により、ソフトの売れ行きがそこまで重視されなくなったことで、

    『pet』連載終了から17年、今なお人々を惹きつける理由は? “まだ見ぬ世界”描く三宅乱丈の作家性
  • J・J・エイブラムスの哀しき独り相撲 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』への同情

    J・J・エイブラムス監督53歳、哀しき独り相撲……観終わった後、私はそう思った。面白い/面白くないかで言えば面白かったし、好き/嫌いで言えば好きだ。しかし、それはこの映画『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019年)を取り巻いていた様々なトラブルを顧みての想いだ。同情票と言ってもいい。 もともと新三部作は、3人の監督によるリレー形式の作品と想定されていた。J・Jの仕事は1作目『フォースの覚醒』(2015年)の監督として「スタートダッシュを切って、あとは任せる」。そしてJ・Jはその役割を果たしていた。無限の可能性を秘めた少女「レイ」、自由を求める善良な人間「フィン」、絵に描いたような伊達男の「ポー・ダメロン」、そして善と悪の狭間で揺れる「カイロ・レン」といった、いくらでもキャラクター性を膨らませることのできる上に、それぞれ異なった魅力のある登場人物たちや、次作で便利に使えそうな謎

    J・J・エイブラムスの哀しき独り相撲 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』への同情
  • 『きみと、波にのれたら』の違和感の正体 湯浅政明監督の作風から探る

    『夜明け告げるルーのうた』で、アニメーション界のカンヌといわれる「アヌシー国際アニメーション映画祭」最高賞を獲得し、次々に話題作を手がけている湯浅政明監督が、初の格ラブコメ作品に挑戦したのが、映画『きみと、波にのれたら』である。 ダンス&ボーカルグループ“GENERATIONS from EXILE TRIBE”の曲「Brand New Story」にのせて、潮風が吹き波濤がきらめく、まぶしい季節のなかで、主人公の女子大生・向水ひな子(むかいみず・ひなこ)と、消防士の雛罌粟港(ひなげし・みなと)のサーファーカップルのキラキラした恋愛描写が描かれていく。 「えっ、何? 大丈夫なの、これ……?」 サーファーのカップルがラブラブなデートを繰り返す作『きみと、波にのれたら』の前半の展開を目にしながら、どうしても戸惑ってしまう自分がいるのである。そう、人は見たことがないものに、反射的に拒否反応を

    『きみと、波にのれたら』の違和感の正体 湯浅政明監督の作風から探る
  • 赤坂BLITZ、ライブハウス営業終了へ 「赤坂エンタテインメント・シティ構想」で街全体が進化?

    東京のライブハウス、マイナビBLITZ赤坂(赤坂BLITZ)がライブハウス営業を終了すると報じられ、ネットを中心に驚きの声が上がっている。 赤坂BLITZは1996年に初代施設がオープンし、2003年に再開発計画のため一旦閉鎖、2008年に現在地にて再オープン。収容人数はオールスタンディングで1,418名、複数地下鉄駅が最寄りで利便性も高く、これまでも国内外問わず数々のミュージシャンたちが赤坂BLITZのステージに立ってきた。ワンマンライブを行う会場規模の一つの目標に赤坂BLITZを掲げるミュージシャンも少なくない。 赤坂BLITZを保有する株式会社東京放送ホールディングス(TBS HD)が1月30日、「グループ中期経営計画 2020」の中で『TBSシナジーを生む総合メディア戦略』の一環である「赤坂エンタテインメント・シティ構想」を明らかにしたことから報じられた今回のライブハウス営業の終了

    赤坂BLITZ、ライブハウス営業終了へ 「赤坂エンタテインメント・シティ構想」で街全体が進化?
  • ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文に聞く ロックバンドは“低域”とどう向き合うべきか?

    連載:音楽機材とテクノロジー(第二回)後藤正文(�ASIAN KUNG-FU GENERATION) 2019.02.09 12:00 リアルサウンド テックの連載企画「音楽機材とテクノロジー」にて、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文にインタビューを行った。テーマの中心は、ロックバンドが今の時代に向き合う“低域“についてだ。 ここ最近、ブログやSNS、インタビューなどでも低域のサウンドの必要性について繰り返し発信している後藤。同時代のグローバルなシーンにアンテナを張るリスナーとしての感性と共に、プライベートスタジオである「Cold Brain Studio.」を設立したことも、その意識の背景にあったものとして大きかったようだ。エッセイ集『凍った脳みそ』(ミシマ社)でも、ユーモラスな文体を駆使しながら、スタジオを設立するまでの紆余曲折を書いている。 ASIAN KUN

    ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文に聞く ロックバンドは“低域”とどう向き合うべきか?
  • ピコ太郎の音楽の底力を見た “過剰なエンターテインメント”繰り広げた武道館公演映像から探る

    それは、間違いなく「異常な空間」だった。 「奇祭」と言ってもいい。演出も、構成も、出演者も、そこで展開されているのは、通常のアーティストのライブの常識とは全く違うものだった。2017年3月、ピコ太郎が行った初の武道館公演。最初に開催のニュースが報じられた時に率直に思ったのは「一体何をやるつもりなんだろう?」という感想だったが、実際に足を運んで痛感したのは「まさかここまでとは!」という驚きだった。 4月18日にリリースされた映像作品『PPAPPT in 日武道館』を観ても、その思いは改めて蘇る。 まずはゲストが豪華だ。前説に登場したのはくりぃむしちゅーの上田晋也。開会宣言は有田哲平。太田光と田中裕二扮する「爆チュー問題」や、高須クリニックの高須院長、マス寿司三人前(from ももいろクローバーZ)、東京スカパラダイスオーケストラ、LiSA、SILENT SIREN、さらにはシークレットゲス

    ピコ太郎の音楽の底力を見た “過剰なエンターテインメント”繰り広げた武道館公演映像から探る