「もう北京出張は当分行きたくない」――。中国人の友人が出張先の北京から戻ってきた。マスクをしてもノドは荒れ、口のまわりには水泡ができたという。電話の向こうからは、「命からがら帰国した」かのような憔悴ぶりが伝わってくる。 日本のメディアも連日伝えるように、中国では大気汚染が深刻だ。2013年1月、北京でスモッグが発生しなかったのはたった5日だった。上空には4000トンにも上る汚染物質が浮遊しているともいう。 こうした浮遊粒子状物質のうち、特に粒径が小さいPM2.5(直径2.5マイクロメートル以下の微粒子)は喘息や気管支炎を引き起こすとされる。北京ではマスクなしでは外出できないような状況だ。 スモッグは北京上空のみで発生しているのではない。中国の960万平方キロメートルに及ぶ国土の7分の1を覆い、広域に及んでいる。上海も例外ではない。1月30日は重度の大気汚染が18時間も続いた。心臓病、動脈硬