今年のノーベル経済学賞受賞者の1人は、ノースウエスタン大学の教授、ジョエル・モキイアである。彼の名は、近代的経済成長(まずイギリス、次いでその他の国で生じ、過去数百年に渡り続いている、漸進的・持続的な未曽有の生活水準の向上)におけるイノベーションの重要性と切っても切り離せない。個人的な話をすると、産業革命の原因を解き明かす上でイノヴェーションの歴史を研究することが欠かせないと初めて気づかせてくれたのは、モキイアの著書『啓蒙の経済(The Enlightened Economy)』〔未邦訳〕だった。それ以来、私はイノヴェーションの歴史の研究でキャリアを築いてきた。 だが、今回のモキイアのノーベル経済学賞受賞で注目すべきは(そして、良い意味で驚きなのは)、モキイアの研究が、経済学のジャーナルに載るような類のものではない(それどころか、経済史のジャーナルの多くでももはや載らない)ということだ。過

