キング牧師は私の経済学をどう形づくったか 『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン』---「ニューヨークタイムズ・セレクション」より まがいものの“アメリカン・ドリーム” 1963年8月28日、マーチン・ルーサー・キング牧師が「私には夢がある」とワシントンで聴衆を沸かせた演説を、幸運にも私もその場で聴いていた。大学卒業直後の20歳。MITの大学院で経済学を学び始める数週間前のことだった。 仕事と自由を求める「ワシントン大行進」の前夜、私は大学のクラスメイトの家に泊まっていた。その友人の父である、アーサーJ.ゴールドバーグは、米国最高裁判所陪席判事で、経済的正義の実現に尽くしていた。 かつて、より公平な米国を創る先導役とされたこの司法制度が、その50年後に格差を温存するための機関になるとは、誰が予想しただろうか。この機関は、企業に選挙運動の影響力を持たせるため、無制限に近い出費を許可し、投