薄暗い寮の部屋の扉を開いて外に出ると、そこには荷物をまとめた大勢の仲間たちの姿がありました。 突然、突きつけられたのは、事実上の”解雇”と帰国の要請でした。目の前が真っ暗になりました。 世界中が熱狂するサッカーのワールドカップカタール大会の裏で、夜も眠れないほど苦しみ続ける外国人労働者たちがいます。 彼らを取材すると、華やかな大会には都合が悪い現実が浮かび上がってきました。 (ドバイ支局長 山尾和宏) 外国人労働者に突然、一斉帰国を強要 中東初のワールドカップ開幕まで半年を切った2022年7月。首都ドーハ中心部は、植えたばかりの芝生や木々が道路脇を美しく飾り、高層ビル群には有名選手を起用した巨大な看板が並び、大会ムードが高まっていました。 外国人労働者向けの寮 そこから、50キロほど南西の砂漠には、外国人労働者向けの寮として使われる建物が等間隔にいくつも並んでいます。 ここで、ネパール人の