ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の宅配大手3社による、苛烈なシェア争いが繰り広げられる宅配業界。そのなかで2013年に佐川急便がネット通販最大手アマゾンとの契約を打ち切ったことは、業界に大きな激震をもたらした。新刊『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館)を上梓したジャーナリスト・横田増生氏が、その背景に何があったのかレポートする。(文中敬称略) * * * 2012年から運賃の適正化を進めてきた佐川急便にとって、アマゾンとの値上げ交渉は避けて通れない難所だった。アマゾンとの交渉を担当した佐川急便の営業マンはこう話す。 「うちが当時、受け取っていた運賃が仮に270円だったとすれば、それを20円ほど上げてほしいという腹積もりで交渉に臨みました。けれど、アマゾンは、宅配便の運賃をさらに下げ、しかもメール便でも判取りをするようにと要求してきたのです。アマゾンの要求は度を越し