「誠品書店」がついに日本へやってくる――。1989年の開業以来、台湾文化を牽引してきた同店だが当初は赤字続きで、その経営を陰で支えるパトロンの存在があったという。そして、誠品書店をこよなく愛する筆者が、日本での開業に期待することとは――? 2006年から台湾台北市で暮らすようになった。その頃の台北といえば、美味しいパンやケーキにありつくのは至難だった。日本式ラーメン屋さんのスープは総じて薄く(日本より薄味を好む台湾人の味覚に合わせたため)、カフェだらけの今の台北からは想像もつかないほどコーヒーを飲むことも一般的でなかった。当時、そんな筆者にとって心のよりどころだったのが誠品書店である。 夜中であってもそこに出かければ、みんな思い思いの場所であらゆる国からきた雑誌や本を読んでいた。本を眺め飽きたら、カフェに座ってコーヒーやベルギービールを飲み、地下の音楽ショップでCDを視聴して、誠品セレクト