MMTは、貨幣論としては新しいのかもしれないが、マクロ経済の調整に財政を使う以上、「いつ、何を、どれだけ」という議論は避けられない。これは、古くからケインジアンを悩ませてきた問題である。MMTという新しい理論を用いれば、荒っぽい財政をしても、金融政策で長期金利や為替レートを完全にコントロールできると言うのなら別だが、そうではあるまい。また、ある程度は可能にしても、広くコンセンサスを得るよう、有効に財政を使うのに越したことはない。むろん、それには説明上の工夫もいる。 ……… MMTの前提は、インフレにならない程度に財政を使うというものだが、その物価上昇率が2~3%なのか、もっと高くても良いのか、消費者物価が安定していても、資産価格が高まったらどうするかなど、設定は簡単ではない。これは、失業率や賃金上昇率にも言えることだし、各指標で方向やスピードが揃わないこともある。これらは、理論的に決まるも