タグ

ブックマーク / www.rieti.go.jp (8)

  • RIETI - 第14回「合理的バブルとしてのデフレ均衡とリフレ政策の有効性」

    小林フェロー:今回は、Benhabib, Schmitt-Grohe, and Uribe (2002) "Avoiding Liquidity Traps." Journal of Political Economy, vol. 110 (3): 535―563 のデフレ均衡と、リフレ政策の有効性について考察してみたいと思います。 日の失われた20年では長期デフレが続きました。金融危機後の欧州経済でも、長期デフレに陥る危険が懸念されています。長期デフレを分析するツールとして、「デフレ均衡」のモデルが近年注目されています(Bullard 2010など)。デフレ均衡とは、永久にデフレが続くような均衡のことです。 もっとも古典的なデフレ均衡は、Friedmanが考えたフリードマンルールを中央銀行が採用したときの均衡です。 マスターくん:フリードマンルールとは、「貨幣量を実質利子率と同じ率で減

  • コラム「経済成長の歴史性:成長政策に対して考えておくべきこと」

    筆者は経済史を専攻しているので、経済成長の捉え方や近年の成長政策についてやや歴史的な観点から述べてみたい。経済史の考え方は近年、多様化しているものの、ある対象を分析するにあたって、そのことが持つ歴史性を見逃すわけにはいかない。言い換えれば、ある対象の性格が絶対的なものではなく、時代とともに変わることに留意するということになる。 こうした意味で言えば、我々が常識的に受け入れている経済成長という言葉も人類の歴史とともに古いものではない。経済学の専門的な書物で経済成長という言葉を書名に含むものが登場したのは、1955年前後であった(注1)。官庁エコノミストもいち早くこの言葉に着目した。1956年の経済白書は、戦後復興に依存した経済活動がもはや終了したことを宣言し、副題に「日経済の成長と近代化」を掲げたように、経済成長を経済活動の実態的な変化を表現する言葉として用い始めていた(注2)。1960年

    woykiakes
    woykiakes 2013/08/24
    名目成長率の方は無視か
  • RIETI - 消費税軽減税率導入の是非

    軽減税率については、対象品目の線引きが難しい、インボイスの導入も含め消費者や事業者に多大の負担がかかる、高所得者ほど軽減税率の恩恵にあずかり政策効果が薄い、軽減税率導入による減収額を補てんする必要がある(消費税率1%のさらなる引き上げ)などが問題点であり、10%を超えるまで導入すべきではない。 低所得者対策は、簡素な給付、さらには簡素な給付付き税額控除で行うべきだ。その具体案を提示し議論する。 消費税とは、取引の相手側に価格転嫁をすることによって、最終消費者に負担を求める税です。取引のリング(RING)の中で、売り上げにかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を控除する方法をとるため、タックスコンプライアンスが高い税といえます。卸売業者Bが生産Aから仕入れて小売業者Cに販売するというのを例に取ると、BはAからの仕入れにかかる消費税額は控除できる(仕入れ税額控除)ので、税務署にはその情報を正

  • 特別コラム「景気回復に向けた心理学的処方箋」

    2013年の日にとって景気回復は最重要課題の1つであり、日経済を成長軌道に乗せるための効果的な対策を打ち出すことが求められている。この重要な課題の解決に貢献することを目指して、以下では、不況の心理学的モデルと、不況脱却への心理学的処方箋を示したい。 以下の図では、不況の心理学的モデルが示されている。このモデルのキーワードは、感情と思考(心のつぶやき)である。この図の左上にある青い線で囲まれた部分では、感情と意思決定の関係についての心理学の研究に基づき、不安感や憂うつといった感情が悲観的な思考を誘発することが示されている。たとえば、心配性の人々や、たまたま不安感を抱いている人々や、憂うつな気分になっている人々は、そうでない人々に比べて、ネガティブな出来事が生じるリスクを高く見積もり、悲観的な思考をする傾向があることが多くの研究によって明らかにされている(矢印の①)(注1)。この図の例だと

    特別コラム「景気回復に向けた心理学的処方箋」
  • 特別コラム「これからの経済政策で考えるべきこと」

    安倍晋三政権が発足し、大胆な金融緩和によるデフレ脱却という経済政策が目指されることになった。物価上昇率目標の設定と大胆な金融緩和によってデフレを脱却すれば、経済成長と雇用の増加がもたらされる、という認識が政策の前提となっているが、この前提は必ずしも無条件に成り立つとは言い切れない。過去10年以上にわたる継続的な物価下落(長期デフレ)という現象について、そもそもその原因もメカニズムも経済学的には理解できていないということを基的事実として押さえておく必要があるのではないか。政府も日銀行も、デフレ脱却を目指してきたにもかかわらずデフレから脱出できていない。日銀はマネーサプライの水準を、バブル以前に比べれば格段に増やしているのに物価が上がらない。これは、長期継続的にマネーの流通速度が低下していることを示している。ではなぜマネーの流通速度が低下しているのだろうか? 仮説としては老後や将来への不安

    特別コラム「これからの経済政策で考えるべきこと」
  • コラム「最低賃金の引き上げは若年労働者の雇用機会を奪う」

    2007年の最低賃金法の改正以来、地域別最低賃金は上昇を続けている。2005年に668円であった平均最低賃金は2011年には737円に上昇した。おおよそ10%の上昇である。政府は最低賃金を上げることでワーキングプア対策を行おうとしているのだが、最低賃金引き上げによる低技能労働者の雇用への悪影響も心配されている。特に経験が浅く技能が低いと思われる10代の労働者への影響が最も心配されるところである。この懸念の妥当性を検証するため、森悠子氏と筆者は2007年から2010年のデータを用いて、最低賃金引き上げの16-19歳男女の雇用率への影響を分析し、経済産業研究所におけるワークショップ「最低賃金改革」で発表した。 分析の結果、地域別最低賃金を10%引き上げると、16-19歳男女の雇用率は少なくとも5.3%ポイント低下することが明らかになった。16-19歳男女の2006-2010年における平均雇用率

  • コラム・寄稿「空間経済学から見た東日本復興政策」

    このたびの東日大震災の被害の全貌はまだ明らかではないが、その直接・間接の被害は阪神大震災を格段に上回ると予想される。阪神大震災の被害は甚大であったが、直下型の地震と火災によるもので、大阪西部から神戸を含む東西40kmの範囲に集中していた。今回は日にとって未曾有の規模の地震と津波、さらに福島原発事故と電力不足によりもたらされた複合被害であり、それらの直接的被災の地域だけでも、青森県から関東北部の、南北600kmに渡る東日の太平洋側半分を覆っている。直接的被災の空間的広がりから見ても、今回は阪神大震災の場合と全く違う。この広範囲の被災地における交通・物流を支えるインフラが大きく損傷しており、極度の燃料不足の影響も加えて、物流システムが崩壊し、多くの自治体の行政システムも機能していない。この物流・行政システムの機能低下が、被災者の救助と生活支援を含む救援活動、さらには、被災地の今後の復興を

    コラム・寄稿「空間経済学から見た東日本復興政策」
  • RIETI - 「失われた20年」の構造的原因

    バブル崩壊後の1990年代は「失われた10年」と呼ばれる。しかし、2000年代に入って銀行の不良債権問題や企業のバランスシートの毀損などが解決しても、日の経済成長はバブル崩壊前の勢いを取り戻せていない。このことから深尾京司FFらは、バブル崩壊後から今日までを「失われた20年」として長期的・構造的な視点から分析した。 1990年代、2000年代を通じて堅調な成長を続けている米国は、ICT(情報通信技術)革命によって労働生産性を大きく高めたのに対し、日ではICT投資が驚くほど少ない。また、TFP(全要素生産性)を分析すると、大企業は1990年代半ば以降、活発なR&D(研究開発)や国際化でTFPを高めている。深尾FFは、日経済が長期的停滞から脱するには、生産性の高い企業がシェアを拡大できるよう、新陳代謝を促すことや中小企業の生産性を高めることが必要だと指摘する。 需要側から見た問題も分析

  • 1