葛西:歌舞伎の世界でも、小道具の職人の後継者問題があるようですね。とくに和傘をつくる職人さんが少なくなっているそうです。 では、時間の都合もありますので、最後に、おふたりから、この春、見ておくべき文化財、そして、今見るべき歌舞伎を挙げていただきたいと思います。 アトキンソン:私のおすすめは、まずはなんといっても日光東照宮です。現在、陽明門を修復中ですが、2016年の夏には終わるので、ぜひ見ていただきたい。もうひとつ挙げると、大分の宇佐神宮です。宇佐神宮は八幡信仰の始まった場所であり、また、御輿発祥の地でもありますが、その宇佐神宮の本殿の50年ぶりの修復が、この3月に終わります。漆は、すぐにつやがなくなってしまいますので、ぜひ、半年以内に、つやつやピカピカした本殿を見ていただきたいです。 成毛:私の3月のおすすめは、歌舞伎座の「車引」です。これは、菅原伝授手習鑑というなかなか複雑な話の中で、