新しく副首相兼大臣に就任したペトラ・デゥスッテルさん(2014年、By Hansmerketー Own work , CC BYーSA 3.0) 2018年暮れから650日余りを費やし、欧州の小国ベルギーにようやく正式政府が樹立した。その陣営は日本のそれとは相当違う。男女半々、若手が多数。イラク難民の2世はいるわ、トランスジェンダー女性はいるわと、多様性を絵に描いたような顔ぶれだ。外国メディアでは「トランスジェンダー女性入閣」などと騒がれ、世界の性的マイノリティーには強いエールを送った。だが、当のベルギーでは話題にも上らない。海外とベルギーとで何が違うのだろうか。(ジャーナリスト=佐々木田鶴) ▽欧州初のトランスジェンダー大臣 今回ようやく成立したのは7党連立政府。そもそもベルギーでは、国を二分するゲルマン系民族とラテン系民族が「社会のあり方」に期待するものは極端に違う。公用語が三つもあり