心理学において、これまでに得られた著名な研究結果が再現されないという再現性の危機が話題となっています。その原因の一端は、統計的仮説検定の使用にあると考えられています。そして、仮説検定のオルタナティブとして、ベイズ統計学に対する注目も高まっています。しかし、仮説検定がもつ問題の一部がどのようにしてベイズ統計学によって解決されうるのか、両者の立場の相違、ベイズ統計学の限界などについて、心理学においてまだ十分な議論がなされていないように見受けられます。そこで今回は、こうした再現性の危機と仮説検定の関係、ベイズ統計学の可能性と限界について、テンプル大学統計科学部助教授のマクリン謙一郎先生にご解説いただきました。 ※今回の記事は、統計的意思決定、仮説検定、ベイズ統計学について基礎的な知識があることを前提としています。あらかじめご承知おきのうえお読みください。 はじめに 再現性の危機が心理学を含む諸分
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