欧州での新型コロナウィルスの感染再拡大に埋もれて影の薄くなったイギリスの欧州連合(EU)離脱問題。このブレグジット問題をめぐり、再び「瀬戸際外交」が活発化してきた。 イギリスは今年1月31日にすでにEUを離脱し、現在は自由貿易協定(FTA)など今後の関係を取り決める移行期間にある。そして、その移行期間の終了が12月31日に迫る中、交渉は暗礁に乗り上げ、「合意なき離脱」に伴う経済・社会の大混乱が懸念されているのである。 「合意なき離脱」騒動は既視感の強い光景ではあるが、筆者はイギリスにとってブレグジットが持つ意味は大きく変わってしまったように思える。 ジョンソン英政権の場当たり的な同問題への対応が、EUを離脱して世界で繁栄するという「グローバル・ブリテン」への期待を急速に萎ませ、連合王国イギリスを展望なき袋小路に転落させつつあるように見えるのである。 どういうことか。交渉の現状を押さえた上で