あらゆる細胞に分化するiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作るときと同じ手法で、人間の肝臓細胞のもとになる幹細胞を作ることに、国立がん研究センターのグループが成功した。培養が難しい肝臓の細胞を、幹細胞から大量に増やせるので、薬の安全性試験や肝炎ウイルスの研究などに応用できるという。同じ手法なのに、iPS細胞とは別のものができた詳しいしくみはわかっていない。 同センターの石川哲也・がん転移研究室長が24日、大阪市で開かれている日本癌(がん)学会で発表した。 石川さんは人間の皮膚や胃の細胞に、iPS細胞をつくるときと同じOct3/4、Sox2、Klf4という三つの遺伝子をウイルスなどを使って入れ、培養した。すると、アルブミンなどのたんぱく質を作り出す肝臓細胞の特徴を備え、しかも無限に増殖する能力を持つ幹細胞ができたという。この細胞を「iHS細胞(誘導肝幹細胞)」と名付けた。肝臓の細胞は体外で増