大阪の堂島取引所によるコメ先物取引の「本上場の申請」に対して、農林水産省は2021年8月、自民党との議論を経て「不認可」とした。江戸時代に誕生した世界最古の先物市場に端を発するコメの先物取引が再び姿を消す瞬間だった。 その際に生まれたいわば「鬼っ子」が前回「コメ現物市場が今秋開設 なぜ必要なのか?」で取り上げたコメ現物市場の創設検討指示である。もちろん、公的な「コメ市場」の開設は前進だが、現物市場がフルに機能したからといっても市場に対するすべての要請に応えられるものでない。コメ現物市場が先渡市場、先物市場と分担・連携・総合化していくことが理想である。 3つの市場の連携とはどのような形なのか。歴史的な正当性や世界の常識との乖離などを解説したい。 先物取引の必要性と不認可の要因 前回も説明した通り、手持ちのコメを販売した生産者が次に考えるのは、種子の手当て、田植えの準備など「経営体として持続で
