宮古市田老のワカメ漁は収穫が終盤に入った。関係者は風評被害を懸念する=岩手県宮古市田老で、2021年4月10日午前7時1分、中尾卓英撮影 政府が13日に福島第1原発の汚染処理水を海洋放出する方針を決めたことを受け、岩手県内の漁業関係者からは風評被害への懸念や、十分な理解を得ないまま決定した政府の姿勢に疑問を呈する声が上がった。県内の水産業は漁獲量の減少や、新型コロナウイルスの影響による収入減など厳しい状況に直面する。漁業者らは「海洋放出が追い打ちをかける」と心配する。【中尾卓英、日向米華】 「ふざけるなと言いたい」。海洋放出の決定に語気を強めたのは、原発事故後の風評被害に苦しんだ宮古市の田老町漁協の指導増殖課長、畠山昌彦さん(53)だ。今では「真崎わかめ」「真崎とろろ昆布」など海藻類がネット販売でも売れ筋だが、一時は大阪市場向けのボイルコンブの出荷がゼロになったこともある。「一度でも中国産