その昔、村上龍が「演劇は暴力的な装置だ」という文章を朝日新聞に書いたことがあった。演劇が好きだった私は、へえ村上龍は演劇が嫌いなんだ、と思った。 柴幸男の岸田戯曲賞受賞作「わが星」は、戯曲を読んだ時点で、なんだかうるさそうな舞台だなと思った。ずっと時報が流れ続け、ラップ音楽みたいなのが随伴している。選評でも、ソーントン・ワイルダーの「わが町」の翻案で、と言われていたが、内野儀なども、この作品がもたらす感動はワイルダーの作品のものではないかと言っていた。 それが、DVDになって安価で出ていたので買って観てみたら、案の定うるさくて、感動どころではなかった。劇場でなんか観て(聴いて)いたら、それこそ暴力装置だろうと思った。あまりうるさいので、せりふに耳を傾けることもできず、へえこれで感動するのかねえと思ったくらいである。 あの、みんな遠慮して言わないだけだが、ラップってのは、うるさい。私がラップ