――さて、今日はどんな話をしようかね。 「とうさん、とうさん。あの話をしてよ。夢と希望にあふれた理想的な話をして。」 ――おお、あの話かい。すこし長くなるけど、いいかな? 「うん、いいよ」 ――じゃあ、お聞き。これから話すのは、ある一つの理想的な未来の物語だ…… ……その未来の国はね、それはそれはもう豊かな国だったんだ。文化的で科学的で、とてもとても発達していた。 だから、就職率は常に100パーセント。誰も「仕事がない」とか「明日からの生活をどうしよう?」とかそんな低次元な悩みをもってはおらず、自分の生活に誇りを持ち、いつも皆が明日のよりよき生活を夢見ているんだ。この国がもっと美しくなればいいのに。そんなことを考えるゆとりをもっている。 国民はみんな、等しく平和的で、だから暴力的、反社会的、反動的な性格をもたず、奉仕精神に恵まれて、日曜日はご近所さんとともにゴミ拾いをしている。 性的にも満