【ニュース裏表 峯村健司】 米司法省は先月、医療用麻薬「フェンタニル」などの密造などに関与したとして、中国本土を拠点とする8企業と従業員らを起訴した。財務省も、フェンタニルの密造・密輸に絡み、暗号資産(仮想通貨)口座で数百万ドル(数億円)を受け取っていたとして、中国と香港を拠点とする12企業と13個人を制裁対象に指定した。フェンタニルは、米国での薬物蔓延(まんえん)の最大の原因とされる。メキシコの麻薬マフィアが生産しているが、原料を供給しているのは習近平国家主席の中国である。ジョー・バイデン米政権の激しい怒り。「現代版アヘン戦争」に、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司氏が迫った。 バイデン米大統領(ゲッティ=共同)◇ 筆者は9月末、出張で米ニューヨークを訪れた。米ハーバード大学で研究員をしていた10年前から、この町に来ると必ず立ち寄る地域がある。中心部のマンハッタン島の北東部