今回のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、米国が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を表明し、アジア太平洋の自由貿易圏構想をめぐる交渉はTPPを中核に進む公算が大きくなった。TPPはすべての関税撤廃を目指す「究極の自由貿易協定」であり、日本が加盟するためには高関税のコメなど農業分野の扱いが最大の難題として浮上してくる。アジア太平洋地域の自由貿易圏構想で主導権の確保を目指す鳩山政権の前に、農業自由化の厚い壁が立ちはだかることになりそうだ。(粂博之) 「米国は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加する」。15日行われたAPEC首脳会議の席上、オバマ米大統領がこう表明すると参加各国・地域からの拍手で迎えられた。 TPPは現在、シンガポール、ニュージーランドなど小国ばかり4カ国で構成されているが、「アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の礎石にできる」(クリーン豪貿易相)と域内